バンドネオン弾き語り~ルベン・フアレスの世界
個性的で素晴らしい音楽の世界を表現したタンゴ・ミュージシャンを紹介しましょう。
ルベン・フアレス(Rubén Juárez)はバンドネオン弾き語りというめずらしいスタイルで 才能を発揮したミュージシャンです。
1960年代後半くらいにデビューしたようなので、タンゴの低迷期以降の比較的新しい世代のマエストロといえる方ですね。(とはいえすでに故人ですが…)
若いころは張りのある美声でしたが、老年期に入ってからは渋みのあるしわがれ声で歌い方も変幻自在。人生の重みがそのままタンゴとしてにじみ出ているような魅力があります。
こんな表現が的を得ているかわからないですが、「バンドネオンを持ったルイ・アームストロング」と言いたくなるような存在感のあるだみ声です。
タンゴの巨匠たちは80~90歳でも現役の非常に長命な方も多かったのですが、ルベン・フアレスは2010年に62歳の若さで前立腺がんで亡くなりました。彼の音楽の味わいは年とともにさらに磨かれただろうに、非常に残念です。
こちらはルベン・フアレスの1969年のオリジナル作品「バンドネオンと私(Mi bandoneón y yo)」です。
こちらもおそらくオリジナル作品。「ブエノスアイレス最後のタンゴ(Último Tango en Buenos Aires)」です。
ほとんどが歌というより長い独白ですが、まるで朗読劇のような何とも言えない味わいがあります。
アルゼンチンタンゴには様々な個性的なミュージシャンが登場してきましたが、その中でも唯一無二といっていいような存在感を持ったルベン・フアレス。
歌とバンドネオンが一体化したようなその存在感ある音楽はまさにタンゴの魂のような強烈な魅力を感じます。
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