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夜な夜な文庫で買える本 「すべての美しい馬」(コーマック・マッカーシー)

アメリカ青春小説の王道。現代の感覚から想像される生易しいキラキラした青春を思い浮かべて読むと、読んでる本の向こう側からナイフで刺されて生死を彷徨うような衝撃を受けるからお気を付けを笑。

とはいえ、これを読むと、若い時分に考えていた、もしくは実際にやってみたことたちが思い出される人も多いはず。今ではないどこかへ、という「いま」と「ここ」から逃げ出したい衝動に駆られた人の心に届く傑作。その点でいえばいつまでもこの小説は永遠の「青春小説」と言われ続けるのだろうと思う。

青春の真っただ中にいる若い人に読んでほしいかというと、、、なんか違う気がしていて、社会への疑問とそれに対する怒りと自分の無力さと少しの希望と一番好きだった人と痛すぎて死ぬ夜とそれでも生きていくしかない日々と、なんかそんなことを経験してきた人にこそ響く小説だと思った。

って、一旦は思ったんだけど、よく考えれば若い人こそそういうことを読んでおいて欲しいし、きちんと怒れる人にもなって欲しいので結局この本はどの世代でも読める、万人向けスルメ本です。

ぜし。

では、最後に僕の大好きな映画「象は静かに座っている」でも映画のテーマとして引用されたこの小説の中の言葉をご紹介して締めましょう。

『彼は世界の美しさには秘密が隠されていると思った。世界の心臓は恐ろしい犠牲を払って脈打っているのであり、世界の苦悩と美は互いに様々な形で平衡を保ちながら関連し合っているのであって、このようなすさまじい欠落のなかでさまざまな生き物の血が究極的には一輪の花の幻想を得るために流されているのかもしれなかった』

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