過ぎ去ったあとに。

父と母は、よく喧嘩をする。

今でこそ、大きな争いに発展することはないんだけど、ちょっと昔は凄かった。


父は、DVな気質だったり、
母も、真っ向勝負!な、気質だったり、
そんな時は、家は大荒れである。



今ちょうど、台風が来てるけど、台風と違って目をつぶって7、8時間たてば過ぎ去っていくようなものではない。




お互い口をきかなかったり、
家に帰ってこなかったり、
長いときは、ひと月近く、そういう事もあったような気がする。

収束したかに思えても
本人たちに止まらず、[男とは]を僕に説く。
これに関しては、とんだ二次災害だと思う。




人間ってのは、なぜついたり、離れたりを繰り返すものなのだろうか。

母は僕によく
「嫌な人とはすぐ縁を切りなさい。」
「自分がキツイ思いをする必要はない。」
と言う。


これは、おそらく僕の性格を考慮して話してくれていると思うけど、そんなこと言う人がなぜこうも争ってまで父といるんだろうか。
当時から謎だった。


こうなってくると、離婚という話が出ないわけなに。


母は「子供たちがいるから」という理由で踏みとどまっていた。




そんな子供たちも
デカくなって兄妹のほとんどが

いいよ!しちゃいなよ!

と言っても、なんだかんだ、しないのである。




夜も深まると台風が近づいてきているのか
ドンドンと窓を叩くように風が吹く。



怖いなぁという体感と心細さはあるものの
目をつぶってしまえばこちらのものである。




色々考えてふけっていると、母がなにかの折に触れて父のことを話していたのを思い出した。


「一通り、子育て終わって色々あったけど、ずっと家族を守ってくれた。
そこだけは本当にありがたいと思ってるよ。」



「今の今わかることもあるし、明日わかることもある。
3年後、5年後、10年後、死ぬ前にわかることもある。
伝えるタイミングはちゃんと考えないといけない。
たとえ伝わらなくても、無駄だったわけじゃなくて、今じゃなかったんだと、思わないといけないよね。」



今なら、なんとなくわかる。



守ってもらえてるって実感、安心感、
そんなもん、この上ない幸せだろう。

それがずっとあったものなのか
今になって過去が裏返ってそうなったのかわからない。


でも、信頼して、理解しようとして
向き合ったことに変わりはないと思う。




争いが嫌いな僕からすると
なかなか解せぬことだった
あの言い争いも
離れ離れの時間も
無駄ではなかったんだと思う。




いつだって戻ってこれる居場所を作るためにはそれが必要なことだったんだろうと思った。




スッキリしたところで、目を閉じた。



気がつけば、朝になる。
生きていることから、昨晩の台風を乗り切ったとわかった。
目をつぶっていれば終わるのなんて、全身麻酔の手術みたいだわ。


外を眺めると、曇り空が広がる。
グスグスとした空模様。
時折強く風が吹き、いつ雨が降り出してもおかしくない。



仕事も休みだったので
本を読んだり
筋トレしたり
掃除をしたり
料理をして
過ごす。




晴れ間がみえてきた、夕方。
少し外へ出た。


道には、葉っぱやら、なんやら、
道路や歩道を埋め尽くしていた。
たしかに台風がきていたんだと、わかった。


人々は、そんなこと気にすることもなく颯爽と通り抜け、それぞれの営みをつづける。



空を見ると、雲の隙間から、綺麗な夕陽が見えた。



時には、色々あっていいし
本当に大事ならまた歩み寄ればいいと思う。



嵐が過ぎ去ったあと、
綺麗な景色を見ることがあるだから。










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