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その辺の猫のそそくさと道を横切りたるはいとをかし

昨日の午前中は心が少し荒んでいました。誰かに嫌な目にあわされたとかではなく、単に前夜に食べ過ぎて夜中に胃の気持ち悪さで目が覚めていまい、寝不足だったからでした。
少しイライラしつつ運転しているとき、さささっと前方を横切るものがありました。……そう、猫です。頭に一つの文章がパッと浮かび上がりました。

その辺の猫のそそくさと道を横切りたるはいとをかし。

そう頭の中でつぶやいた途端、心がほっこりおだやかになるのを感じました。猫、ありがとう。

なぜこんな平安調かといいますと、以前にネット掲示板のコピペ作品として見かけた作者不詳の枕草子の猫パロディーが心にあったからでした。思わず唸ってしまう素晴らしい作品なので皆さんにおすそ分けいたします。

猫草子 

春ははちわれ
やうやう黒く割れゆく額は少し薄れて
白くはえたるひげの細くたなびきたる

夏はシャム
焦げた顔はさらなり
やみもなほ、猫たちの多くすれ違いたる
またただ一匹二匹など
微かに鳴きて行くもをかし
アメショーなど来るもをかし

秋は茶トラ
夕日の射して、ひなたのいと少なくなりたるに
猫たちの寝どころへ行くとて
三匹四匹、二匹三匹など走り急ぐさへあはれなり
まいて子猫などのつらねたるがいと小さく見ゆるはいとをかし
日入り果てておやつの要求、抱っこの催促など
はた言ふべきにあらず

冬はペルシャ
毛の長きは言ふべきにもあらず
胸のいと白きも、またさらでもいと美しげに
人間を急ぎおこして食事を待ちわびるもいとつきづきし
昼になりてぬるくブラシもていけば
長い毛ももつれがちになりてわろし

作者不詳


ありがたくいただきます。