第8夜 ローカル楽しんでいる建築家 後藤周平×宮城島崇人×五十嵐敏恭+廣岡周平・工藤浩平

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廣岡|今日はかなり楽しみな会です。今日のメンバーは、建築の確信に触れるというか、建築の知性というようなものへのチャレンジをされている方々です。ぜひ、建築の本質的なものは何か、など様々な議論をできればと思います。

TOPIC1|後藤周平さんのレクチャー

TOPIC2|宮城島崇人さんのレクチャー

TOPIC3|五十嵐敏恭さんのレクチャー


地域の気候・風土、産業の風景(フリーディスカッション)

廣岡|さて、ここからは全体のディスカッションに入りたいと思います。今日は、三人から建築の確信に触れようという意思をみた気がします。都市にいると、その探求よりもファシリティとしての建築としての側面を考える必要性にも迫られてしまいがちですが、皆さんの話でなんだか姿勢を質された気もします。地域性への意識を見ると、五十嵐さんからは沖縄への強い意思を感じた一方で、宮城島さんや後藤さんはどこでもできる印象を持ちました。
宮城島|北海道は、一回、地元を捨てている人が多くいる土地、という見方もできます。僕自身のルーツとして宮城島姓を辿ると、基本は静岡で、海外に移住した日系の宮城島姓も結構いるんですよ。どこに根差しているのかというアイデンティティの問題は僕の中で結構大きいかもしれません。
後藤|静岡の場合、静岡独自の風土から建築を作るという印象は弱いですね。実際、静岡の建築家も、地続きの本州にあるからか、場所に縛られない活動をされています。でも、静岡の独自性は見出しづらい面もありますが、何かあるかもしれません。これを機にこれから考えて行こうかと多います。
工藤|沖縄と北海道という両極端な地域のお話でしたが、その中で、やはり断熱についてのお話ももう少し聞きたいです。個人的には、意外と断熱がなくてもいけるという感覚的なところが大切な気もします。
五十嵐|そうですね。僕の自邸では、当初は屋上緑化をする予定で、断熱していないんです。まだ屋上緑化はできていませんが、それでも、大きな庇と影でなんとなく快適性が保たれています。
宮城島|寒いなら寒いなりの生活の仕方があるし、自分たちの身体性に基づいた空間性が大切なのではないでしょうか。機能至上主義で過剰なコストをかけるのはおかしいと思います。ただ、同時に、環境を制御することから来る快適さもあります。例えば、躯体を温めて冬の綺麗な空気を入れ替えても快適性が保たれるなど、そういう素敵さもあります。
工藤|最近秋田でガラスに囲まれた建築を作っていて、寒い秋田の住宅を開放的にする挑戦をしています。宮城島さんの牧場はバラバラとした個々の建築をどう繋ぐのかが絶妙でした。
五十嵐|そもそも牧場のプロジェクトってだけですでにおもしろいですよね。
宮城島|1次産業の風景は美しい一方で、危機に瀕しているものでもあります。建築家は、そういったものの美しさを鼓舞することができるので、農業をはじめ、そういった現場に活躍の幅を広げることの意義は大きいと思います。
廣岡|話はつきませんが、もうすでに開始から4時間が経ってしまいました。本日はこれで終わりますが、今度、ぜひ、それぞれの地域を訪れましょう。

(編集:佐藤布武)


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