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「オオモクバタケ」 はらまさかず

 ともちゃんは、マンションの3階に住んでいます。
 朝、ベランダの植木鉢に、いつのまにかキノコが生えていました。
 「イチゴみたい」
 ともちゃんがいいました。
 「はじめて見るキノコだなあ」
 お母さんがいいました。
 
 キノコはぐんぐん大きくなっていきました。
 茎が、ベランダの外へニョロニョロと伸びていきます。そして、夜になると、キノコは大きな傘を開きました。傘の下には、、、
 「木馬だ!」
ともちゃんがさけびます。
 「メリーゴーランド!」
お母さんもさけびました。
 ともちゃんとお母さんは、用心しながら茎をつたい、木馬に乗りました。すると、木馬は回りはじめます。
 「お母さん、夢見てるみたいだね。」
 ともちゃんがいいました。
 「うん、夢みたい」
 お母さんがいいました。
 
 キノコは、次の朝には、しぼんでたおれていました。
「あのキノコ、オオモクバタケっていうんだって」
と、お母さん。
「また、生えないかなあ」
ともちゃんが、空を見ながらいいました。

オオモクバタケ


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