「母の日のプレゼント」 木村研

今日は、母の日です。
 コロナウイルスの感染で自粛の続いているほのかちゃんのうちでは、
「今日は、ごちそう作るね」
と、お母さんが買い物に行きました。
 ほのかちゃんは、お父さんと弟のりおくんと、三人でおるすばんです。
 お父さんは、冷蔵庫からジュースをだして、コップにそそいで、
「おまちどうさま」
と、お店のように長いストローをつけてだしてくれました。
「わー。お店みたい」
 二人が大喜びでジュースを飲んでいると、
「ねえ、ねえ。お母さんのプレゼントどうしよう。今年は、外に行けないから、花をつんでプレゼントはできないぞ」
と、お父さんがいいました。
「絵をかく」
 ほのかちゃんは、スケッチブックにお母さんの絵を描きました。
「ぼくも」
 りおくんも描きました。
「お父さんは?」
 ほのかちゃんに聞かれて、お父さんは困って、くしゃくしゃにしたストローの袋をテーブルにおいて、水を一滴たらしました。
 すると、袋は生きてる虫のように、むにゅむにゅむにゅと伸びたのです。
「わー。へびみたい」
りおくんが目をまるくすると、お父さんは、
「そうだ。プレゼント作ってくる」
といって部屋にはいっていきました。

「おかあさん、ありがとう」
晩ごはんの時に、ほのかちゃんとりおくんがお母さんに絵をプレゼントしました。
「お父さんは?」
 ほのかちゃんにいわれるのを待っていたように、お父さんは、水の入ったお皿をテーブルにおいて、ほのかちゃんとりおくんに、新聞紙をたたんで作った紙を渡して、
「お皿に浮かべて」
と、いいました。ほのかちゃんが、そっとお皿におくと、花びらがパ―ッと開いて花が咲きました。
「ぼくも」りおくんも、大急ぎで入れました。
「すてき」
 次からつぎにお皿に花が咲きました。

(作者のことば)
お父さんやお母さんは、喫茶店のストローの袋で遊んだことないですか? その応用です。『忍者になるおもちゃ図鑑』(講談社bc・講談社)や『おうちは遊びのワンダーランド』(いかだ社)で紹介しています。
当番を決めたり、くじをやって遊ぶと楽しいですよ。

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