「最高のぜいたく」 はらまさかず
ピエロが座っていそうな月の浮かぶ夜、
喫茶ギンガでは、また、宇宙の話です。
「宇宙ステーションに滞在したら、一日をみっちり、無駄なく過ごすだろうなあ」
ぼくはいった。
「なんで?」
と、マスター。
「だって、宇宙にいるんだよ。ぼんやり過ごしたらもったいないよ」
「うん」
「そんなふうにさ、宇宙にいるんだって思いながら毎日をすごしたら、むだのない立派な人生をおくれるだろうな」
ぼくがいうと、マスターはつまらなそうな顔をした。
「そんなの、なんか息苦しいよ」
と、マスター。
「