見出し画像

「ギンガの月」 はらまさかず

今日は中秋の名月。
こんな夜に、喫茶ギンガに行かない手はない。
「中秋の名月と満月が重なるのは、8年ぶりらしいよ」
マスターが言った。
「へ〜、いつも満月じゃないんだ」

「ほら、サービス」
マスターが出してくれたのは月見団子。
「いいねえ」

ふたりでお団子を食べながら、月見をした。
「月って、えらいよね」
と、ぼく。
「なんで?」
「なんか、謙虚で」
「そう?」

「どうすれば、謙虚になれるのかなあ」
ぼくは、お団子を食べる。
「自分で光ろうとせずにさ、
 照らしていただけますかでいいんじゃない」
マスターが言った。

「お団子美味しいね」
と、ぼく。
「いえいえ、お口に合ってよかったです」
マースターが笑って、お団子を食べた。
(喫茶ギンガ 第14話)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?