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「あなたを あたらしく」 はらまさかず

道路に、桜の花びらが落ちています。
なんとなく、踏まないように注意しながら、
喫茶ギンガへ。
マスターは、いつ行っても、やさしい笑顔で迎えてくれます。

「町で、こどもたちを見ると、うらやましくてさ」
と、ぼく。
「どうして?」
マスターがききます。
「新学期、新しい先生、新しい友達…
こどもって、新しいことばかりで、いいなあ」
「なにか新しいこと、はじめてみたら?」
「むりだよ、もう」

「いきなり全部新しくしなくても、ちょっとずつ変えていったらいいんじゃない。今日は、コーヒーのブレンドをかえてみる?」
マスターはそういって、奥に入っていった。
しばらくして、いつもとちょっと違う、いい香りが広がってきた。

(喫茶ギンガ 第19話)


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