【逗子葉山よむ料理店】#6 マッチポイントの、知る人ぞ知る人気料理ゴルゴンゾーラペンネ
かつて、といっても20年くらい前だけれど、逗子にマッチポイントというスナックがあった。
社交の場、そして憩いの場として地元の人たちから愛されていたそのお店は、ビルの3階から路面店へと移ったタイミングで大きく舵を切る。
母が切り盛りしていた店を、息子の田村大輔さんが手伝うようになったのだった。
いくつかの飲食店で経験を積んでいた田村さんは、常連のお客さんのことも考えながら、少しづつ自分の思いを店づくりに反映させてきた。
壁一面にズラッと並ぶお酒。ここでしか食べられない味わいのカレー。新鮮な材料を使って手間を惜しまず作り込まれる一品料理の数々。そして定期的に開催される音楽ライブ。
「ここに来ればなんでもある、そんな店にしたかったんです」
それが今のRestaurant&Barマッチポイント。
「いつもお世話になってる先輩の大輔さんを紹介しますよ」とARiAの良人さんが紹介してくれたお店。
あの日、4月7日。
スタッフ全員でお店に集まりテレビを見た。緊急事態宣言が出た瞬間をみんなで見届けた。
「そこで一旦、“解散”したんです」
これから迎えるであろう厳しい状況を乗り越えるため、自分たちを鼓舞するように全員で杯を上げた。
そして4月29日。
マッチポイントは再始動した。仲間たちは慌ただしくキッチンを動き回り、田村さんが経営する清水橋バルやうどん酒場ざくろのメニューも一挙に集結。デリバリーも始めた。
ここから、マッチポイントの新しい歴史が始まる。
Restaurant & Bar Match Point 逗子
〒249-0006 神奈川県逗子市逗子5-1-13
電話番号:046-873-0371
https://www.facebook.com/Matchpoint-1838092653088400/
*テイクアウトなどの最新情報は、店舗のSNSをご確認ください。
10年の歴史を背負い、それを守るためにも挑戦を続ける。
深い味わいの後にしっかりと感じるスパイスの風味。欧風カレーとも、インドカレーとも異なるマッチポイントのカレーは店の代名詞にもなっている。逗子葉山だけでなく、鎌倉にも多くのファンがいるのがその証拠。
「路面店に移転するにあたり、宣伝も兼ねてランチ営業をしようと。そこで昼はカレーを出そう、と母が言い出したんです」と、20年前を懐かしそうに振り返る田村さん。
変えなかったものもあった。
店の名前はそのまま受け継いだ。
「これも母のわがままを受け入れただけなんですよ」
そう言って田村さんは笑ったが、たぶんそれだけではない。
10年に渡って親しまれてきた店名を背負うということ。それはその店の歴史を紡いでいくということ。
マッチポイントはただ飲み食いするだけの場所ではない。
人と人が出会い、つながり、それが時に大きな力になって誰かを救ったり、街を動かすこともある。
母からお店とともに、この場所が培ってきた歴史を大切に受け継いでいる。
そんなマッチポイントも迎えた、創業以来の苦境。
「以前の状態に100%戻ることはないと思っている」と冷静に語る田村さん。
テイクアウトの手応えは掴んでいるものの、これで大きく利益が出るわけではない。
「でも何かやらなきゃ自分もスタッフの皆も落ち込むだけ」
田村さんの想いに、また再び仲間が集まった。
お客さんと話して笑顔を見ることが、今まで以上に全員のモチベーションになっている。
「SNSでもたくさんの人が応援してくれて。お客さんに恵まれていることを実感しています」
先を見据えた一手も打った。
「この機会にキッチンカーを始めます」
この海街には駅から離れた住宅街も多い。この状況が落ち着いた後もお客さんのため、地域のためになればとスタッフ全員と話して決めた。
「結局はお客さんの笑顔を見たいだけなんですよね」と田村さん。
マッチポイントの歴史はこれからも続いていく。海街の暮らしに寄り添いながら。
知る人ぞ知る人気料理、ゴルゴンゾーラペンネの作り方を教えてもらいました。
カレーは大変な手間がかかるとのことで、今回教えていただいたのは夜の大人気メニュー、ゴルゴンゾーラペンネ。
ゴルゴンゾーラの豊潤な香りと旨味を味わえる一品で、海街の吞兵衛たちに大人気。
池子の米軍家族住宅に住むアメリカ人たちも絶賛する味で「何度も通ってくれてた人から『帰国する前にレシピを教えてくれ!』と言われた事もあるんですよ」と田村さん。
実際につくってみると思いの他に手軽に出来るのに、その本格的なお店の味に思わず唸ってしまったレシピ。お酒も本当に良く合いそう。
「ちょっと贅沢してホップ強めのIPA」「ミネラルをしっかり感じる白のナチュール」「スモーキーなシングルモルトのソーダ割り」なんて迷いながら、心躍る家時間を、このメニューとともに楽しんで。
このレシピの購読料824円(「ハ」ヤマと「ズ」シを「ヨ」ム)は、全額をマッチポイントさんにお渡しします。応援の気持ちを込めて、ぜひ読んで、つくってもらえたら嬉しいです。
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