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どこへ向かっているのか?

『沖縄本礼賛』
平山鉄太郎
出版社:ボーダーインク

これ、面白い!
でも、これを面白い! と思える人間は圧倒的に少数派であると思うが。
4000冊沖縄本を買った。しかし1割も読んでない! むしろ読まなくていい! ・・・だって?
いやー、僕にはそんなこと言えないっす。未読本が山のように積み上がって罪悪感に責めさいなまれている僕はもう古い時代の人間なのか。
山と聳える未読本を持ちながら、それでも新しい本を買い増やしてしまう罪業感。この罪業感を手放してしまったら、あとは際限なく車輪が転がってしまう気がする。この著者はもう転がっている。止まらなさそうだ。どこへ向かっているのか?

僕もそこそこは蓄書狂であるが、この人の場合は完全に突き抜けている。
沖縄が好きで沖縄本を集めだしたが、最近は書籍代にまわすために沖縄への旅費を惜しみ、ここ5年は沖縄に行ってない、と。嫌だ、僕は沖縄に行きたい。
僕は突き抜けたくない(笑
「この先生の本は好きでほとんど持っている。読んだことないけど」って、何言ってるのかわかってるのか? 読んだことないのにどうして「好き」なのか? 凡人には理解しかねる。そもそも「好き」って何? という根源的なところにまで切り込む気か? 意味不明である。
「みんながみんな、読む分だけしか買わなかったら、世の古書業界は立ち行かない」
ま、そりゃそうかもしれないが。僕だって買ったのに読んでない本は腐るほどある。しかし、しかしだ。それでも僕は著者に言いたい。
「もうちょっと読め。せっかく本なんだから」

理解しがたい部分は多いが、しかしそれでも面白い。
テーマとは関係のない部分で、結婚した奥さんが(著者同様沖縄出身者ではない)三線弾きで、何十万もする輪っか(結婚指輪のこと)なんか要らないから良い三線を買ってくれと言った、という挿話が好きだ。
新しく作ってもらったばかりの三線を持って店を飛び出し、夜の住宅街で歌い弾きまくる話。
美しい。

(シミルボン2016.9)

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