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プラットフォームを学ぶための最適書

TwitterやInstagramをチェックして、YouTubeで動画を楽しむ。私たちはの生活にプラットフォームは欠かすことができません。どのようなビジネスモデルで動いているのでしょうか。

■はじめに

『プラットフォームレボリューション
~未知の巨大なライバルとの競争に勝つために~』

プラットフォームを学ぶための最適書
読みやすさ★★☆☆☆(専門書寄り)

ダイヤモンド社 2018年出版
著者:ジェフリー・G・パーカー/マーシャル・W・ヴァン・アルスタイン/サンジート・ポール・チョーダリー

利用者としてはもちろん、ビジネスとしてのプラットフォームに興味を持つ方も多いでしょう。インターネットの登場以降、新たな価値を生み出すことが、容易にできるようになりました。

音楽や動画、小説といったクリエイティブコンテンツに加え、昨今では通じて個人の労働力や能力、そして法人個人問わず様々な資産がプラットフォームを通じてやり取りされています。

本書では、プラットフォームビジネスのメカニズムを解明しつつ実際にプラットフォームビジネスを立ち上げることまで踏まえています。

■学びたい3つのポイント

①信頼度の「可視化」が安心を醸成し、取引をより活発にしていく

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プラットフォームが登場することによって、不履行時の保険契約と評判システムが提供されるようになり、また、ユーザーの適切な行動が推奨されるようになった。これらを通じて取引コストが大幅に引き下げられるようになったのだ(P17)

プラットフォーム登場以前のクチコミというのはその名の通り人づてにしか評判を聞くことしかできませんでした。

今では様々なプラットフォームにおいて企業、お店、個人あらゆるものが
「レビュー」されることとなりました。良い行いには適切な評価がなされ、
その評価が蓄積していくことで信頼度を可視化することができるようになったのです。

プラットフォームビジネスを考える上で、どうレビューを組み込み、効果的に回るサイクルを構築できるか、非常に重要な要素となります。

②資産を持たないことが可能となり、成長のスピードもより速まる

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ヒルトンやシェラトンなどのホテルチェーンが拡大を図ろうとする場合は、
新たに部屋を増設し、何千人ものスタッフを雇用することになる。対照的に、エアビーアンドビーの場合、ネットワーク上のリストに部屋を追加する費用は、最小限なので、限界費用がほぼゼロのまま拡大できる(P105)


インターネット登場後のビジネスの特徴は、「持たない経営」がより容易になったことです。ウーバーイーツはレストランを実際に経営しているわけではないですし、メルカリがアプリ内で販売されている商品の在庫を持っているわけではありません。

プラットフォームを通じて、企業や商品、サービス、そして利用者をいかに効率的にマッチングさせていくかが鍵となるのです。

③既存の企業もゼロから向き合うことでチャンスはある

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既存企業がプラットフォームという破壊者の力と戦うことを望むならば、
既存のビジネスモデルを見直す必要がある。(中略)プロセスにかかる費用を見直し、よりシームレスに結ばれた世界で、こうした費用をいかに削減したり、なくしたりできるかを想像しなければならない。現在、取引をしている個人や組織の状況をすべて調べ上げ、彼らをネットワーク化して新しい価値形態を創出する方法を、新たに構想することも必要になる(P118)

プラットフォームを迎え撃つ側の既存企業にチャンスが全く無いかというとそうではないと筆者達は説いています。従来型の様々な企業が転換を目指し、ネットワークに機会を見出そうとする事例がいくつも登場します。

これまで手掛けたビジネスを大きく見直すことは簡単なことではありません。自社と顧客、そして競合や協力会社を含めて、ビジネスモデルをゼロから考え直すことが必要となるのです。

■まとめ

プラットフォーム企業の中には数年で驚異的な成長を遂げた企業もあります。本書は専門書に近い内容であり決して読みやすい内容ではありません。

しかし、本気でプラットフォームを始めたい、学びたいという方には最適な書籍となっています。プラットフォームで、利益を創出するための戦略例が含まれているほか、ガバナンスや政策といった広義の課題に関しても詳細に触れられています。

プラットフォームの教科書として、自身に必要な部分だけ学びに利用するのもひとつの手かもしれません。


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