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仕事のセンスって何ですか?

タイトルは直球で「『仕事ができる』とはどういうことか?」。楠木建×山口周の軽妙な対話で構成されながらも、仕事におけるセンスの本質に迫ります。

■はじめに

「仕事ができる」とはどういうことか?
どんな本→言われてみればセンスって何なんだろうと思ったあなたに
読みやすさ★★★★☆(読みやすい)

宝島社 2019年出版
著者:楠木建/山口周

楠木建/山口周というビジネス書籍でも人気を誇る著者。この2人が仕事とセンスについて語るという本書自体が、すでにセンスある企画と言えるのかもしれません。

そもそも仕事ができるとはどういう状況なのでしょうか。冒頭で楠木氏は簡単に言えば「成果が出せる人」→突き詰めると「この人じゃないとダメだ、と思わせる人」だと指摘しています。

皆さんの会社にも多くの人から認められる「仕事ができる人」がいるはずです。その人たちと自分たちとではどのような差があるのでしょうか。感覚的には分かっていても、いざ説明しようとすると難しいので「あの人はセンスがあるよね」という言葉が出てくるのかもしれません。

本書では様々な事例をもとに、これまで言語化されにくかったセンスの本質を理解することができます。まずは仕事における「センス」の本質について学んでみましょう。

■学びたい3つのポイント

①問題解決にこそセンスが求められる

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問題解決における分析でいちばん大事なのは「これが原因じゃないか」というインスピレーションで、要するにセンスであり直観ですね。この「スジのいい直観」があれば、非常にシンプルな分析イッパツで強烈な説得力を持つことが出来る(P37)

楠木氏が、仕事のできない人について、すぐ分析に走る人=SWOTTER(SWOT分析をしたがる人の造語)と揶揄するシーンがあります。

分析調査は必要としても、それはあくまでも作業であり、経営でも戦略でもないと。しかしながら、人はつい作業に誘惑されてしまうのです。

仕事は常に何か課題を解決することに意味があり、直観で真因が見抜けるのであればまさにそれこそが仕事ができる証明と言えるでしょう。

②自分の得意な土俵を見極める

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全方位的にセンスがある人というのはいない。本当にセンスがある人というのは単にセンスがあるだけではなくて、自分のセンスの「土俵」がよくわかっている。これが自分の仕事なのか、そうじゃないのかという直感的な見極めが実にうまい。これが本当にセンスがあるということなのでしょう(P117)

仕事ができる人は何でもできると思われがちですが、実際には得意な土俵でしっかり勝負できている人です。本書の中でも、仕事のできない社員が、異なる仕事についたところメキメキと頭角を現し、偉大な経営者となった話も出てきます。

つい、「あれもできていたい」、「これもできていたい」と思いたくなりますが、全てに取り組もうとした結果何も得られないということになりかねません。

自身とその仕事の相性をすぐに見極めることも、その人のセンスが問われるひとつのポイントと言えるでしょう。

③優秀な経営者は「『それでだ』おじさん」

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「うちはこういうことをやってるだろ」→「そうすると、だんだんこういうことができるようになるんだよ」→「やっているうちに客もこうなってくる」→「それでだ・・・」と、ここで儲かるポイントが出てくる。これが「『それでだ』おじさん」。僕の思うにセンスに優れた経営者の思考回路ですね(P164)

自分の言葉で、なぜ自社のビジネスが儲かっているかを時間軸とロジックで簡潔に言い切ることのできる経営者の凄さが端的に書かれています。

経営とは、様々な競争が存在している中で、勝ち続けていくことが求められます。一時的な優位性<長期的な優位性、をいかにして創り出すかが重要なのです。

本当のセンスのある経営者とは、今だけを切り取って考えるのではなく、何がどう変化して自社が優位になるかという未来まで想像できる人物と言えるでしょう。

■まとめ

働く人たちにとって「どうすれば仕事におけるセンスを獲得できるか?」という問いはいつまでもついて回るものかもしれません。本書では、その答えは明示されていませんが、センスがある人たちについては丁寧に考察されています。

センスとスキルの差についてなど、多くの事例を通じて極限まで分かりやすく仕事の本質を学ぶことができます。社会人になりたての方から、経営幹部といった方まで多くの方に読んでほしい一冊です。

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