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それは花のように

 たぶん9割方の女性に同意してもらえると思うが、夏はワンピースに限る。こんならくちんで涼しいものはない。「夏はワンピース」、事実が変わらないのに理由が変わった。昔はらくだからではなく、かわいいからだったな…。

 先だって女優のシャナン・ドハーティさんが亡くなった。私のハイティーン時代のロールモデル(見た目)はこの方だった。前に書いたかもしれないが、高校時代とにかくアメリカかぶれをきわめていた私は、シャナンを一躍世界中で有名にしたドラマ『ビバリーヒルズ高校白書』を原題でわざわざ呼ぶ徹底ぶりだった。「BeverlyHills 90210」ナインオートゥーワンオーと。なんだよ高校白書って。だっさ!と鼻息を荒くしてドラマにかぶりついていた。

我が愛しのブレンダ・ウォルシュことシャナン

シャナンは登場時こそドラマの設定どおりにイケてないイモっぽい女の子で、少しぽっちゃりムチムチしている。ところが、どんどん痩せて美しくなるのだが、ブルネットのせいかどこかオリエンタルな魅力があった。この写真のように人気絶頂のシーズンはほとんど前髪が厚めにつくってあって、リップは真っ赤かダーク系のブランディーカラーだった。めっちゃくちゃあこがれて真似してましたね。

 ブレンダがドラマ中でパリに留学するのだけど、そのころの可愛さはまさしく最盛期だったんじゃなかろうか。ロングヘアをハーフアップにするのだけど頭頂部にクラシック女優のパリジェンヌさながらに高さをもたせたスタイルにヌードカラーのリップ、小花柄のボディラインをタイトに見せつつロリータ風のワンピースが目からうろこが落ちるほどかわいくてハートを射抜かれた。田舎者の高校生ながら必死に似たワンピースを探して同じような髪型をしていたが、当たり前なことに日本の高校生のトレンドとはまったく様相を異にしていたと思う。

 その数年後、日本でもアムラー旋風のおかげでヌードカラーのリップが店頭で手に入るようになるが、このころはまだ「口紅なのに肌色!?あるわけないじゃん」な日本のマーケットだったので、ブレンダの真似をしたくてずいぶんあちこち探したが手に入れるのは非常に難しかったのを覚えている。

こういう感じ。メイクもどこかクラシックだった


ベストを素肌に直接着るのも彼女から学んだ。高校生でそんなやつはいなかったと思うw

 
 訃報に際して当時の彼女を夢中でネット世界に探したら、色あせない可愛さでびっくりした。ドラマが高校生から大学生となると、シャナンの洗練はさらに進んで私の愛したコケティッシュなキュートさよりも、スレンダーでケンのある美人になってしまった。そして主役でありながらドラマからも降板してしまった。

 ドラマの描いたアメリカの高校生にあこがれたあの頃からとても長い歳月が流れ、その憧れの真ん中にいた彼女がもう同じ世界にいないだなんてちょっと信じられない気がする。

 病気の苦しみから解放されて、いまは安らかでいますように。

 

 

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