見出し画像

映画「わたしは最悪」

まず、わたしも最悪です。
「わたしは最悪」と自分で思います。
この映画の何をもって「最悪」と感じるのかは視聴者によって違うと思うんですが、わたしが自分を最悪と思うのは、自分のことしか考えてない生き物だから。
独身子なしを自虐ネタみたいに言う時あるけど、「子供がいなくて本当に良かった」って思うし、こんな自分にもし子供ができていたら今頃どうなってたんだろうって想像するだけで身震いする
自分みたいなやつが親になるなんて考えただけでゾッとする。

作中で、主人公が恋人に言うセリフ
「あなたは今、自分の手が空いてるから子供が欲しいなんて言うけど、新しい漫画のアイデアが湧いたらすぐそっちに集中するんでしょ!?」

はい。ごもっともー!
結局、世話は誰かに任せて漫画描くのが目に見えてら〜ね。
わたしも自分で目に見えてた。ネグレクトになるのは持たなくてもわかってる。

あと、この映画、創作者として見ると「そうなんよなぁ」って共感することが多くてね……。
コミックアーティストのアクセルのセリフがね、「そうそう!」って観ながら思わず言っちゃう。
フェミニストとのラジオトークで、彼の描く漫画が女性軽視だとか差別だとか、トラウマがある人を不快にさせるだとかいうんだけど、漫画と現実を一緒にしないで欲しい。また、作品と作者は別に考えて欲しい。その例たることを言うんだけど、相手の女に通じてなくて、見てるこっちもイラッとしたよ。

アートは汚く自由でなければならない。
読むかどうかはあなたが選べる。
創作は許されない考えやダークな衝動を吐き出すとこ。
作者と作品は切り離してほしい。
想像の対象は別人格。

ほんと、うっさいんだよ!
不快なら読まなければいいし、見なければいい!
むしろ、自分からわざわざ探して文句言いたいだけなんじゃないかって思う。
よく言われるのが、「不快に思う人の気持ちを考えたことがあるのか」とかいう言葉。でも、大抵そういう人って当事者じゃない。

例えば、いじめ系の漫画や性犯罪系の漫画で、「被害者が悲しむ」とか言うけど、実際に声を荒げて批判している人たちはほとんどが当事者じゃないように思う。当事者の多くは、問題にしてほしくないし、思い出したくないし、見たくないし、ただそっとしておいてほしいという気持ちの方が強いんじゃないかなと。

私自身、幼少期にそういうめにあって、今でも覚えている。リアルでは幼児性愛の犯罪者は死ねばいいのにって思うけど、漫画では自分も描いたりするし、読むときにはそれを現実とは切り離して考えられる。ただ、そう考えられるのはわたしがそういう性格だからってのもあるだろう。だから、全員が同じように受け止められるとは思ってない。
だから、簡単に手に取れるところでそういう作品を宣伝するのはやっぱりまずいとはおもうけどね。

なんか、いつもの如く映画のレビューじゃなくて、映画を観た後の自分語りになってしまい、感情が抑えられないのでこの辺でやめておく。

最後のアクセルの言葉も身に染みた。

自分も、彼と同じくネットも携帯もない時代に育った初老で形のあるものの文化の中で育ってきた。
デジタル漫画なんてなくて、紙の漫画しかなかった時代。
ガラクタの知識と記憶と役立たずのもので出来上がった人間。
彼と一緒……。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集