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2022.12.11 コピーの賞に応募してみた件

第13回SCCしずおかコピー大賞 の表彰式に招待される。僕の書いたコピーが最終選考に残ったというのだ。応募数3,600の中から残れたのは素直に嬉しかった。

去年応募した際は箸にも棒にも掛からなかったが、この一年、コピーの本を読んだり、プロコピーライターの方から直接教えてもらったりして、ぼちぼち勉強していた。

そして今日。2回目で最終選考ならまあまあの出来ではないだろうか。

5つのお題から10作品が選考対象となり、協賛企業がその中から一つずつ作品に賞を与える。さらにすべての作品の中から学生賞、準大賞、大賞が選ばれるというシステムだ。つまり計8つの賞がある。

▼今年のファイナル作品はこちらから▼

僕が選ばれたのは〈「ものづくりの県、静岡」を伝えるコピー〉というお題で、残ったのはこちら。

静岡生まれ、世界育ち。

シンプルさとポスターにした時のビジュアルなんかを考えた、まあ、なんか小手先のテクニックで書いたコピーだった。「受賞は無理だろうな」と思う反面、「もしかしたら……」とか考えたり、一応受賞した時のインタビューを想像してみたりしていた。恥ずかしい男。

結果発表が進んでいく。そこはやっぱり僕だって舞台に立ち慣れたプロなのでソワソワを表情には出さず、他の受賞者に笑顔で拍手を送っていた。

僕の名前は最後まで呼ばれることがなかった。
世の中そんなに甘くない。

授賞式の後、審査員たちによる講評が行われた。みなさん第一線で活躍してらっしゃるプロのコピーライターの方々だ。中でも有名なのはオカキンこと岡本欣也さん。過去のお仕事としてサントリーの烏龍茶や家庭教師のトライのコピーなど、どこかで一度は目にしたり耳にしたことのある傑作を残しているすごい方だ。「年賀状は、贈り物だと思う。」にいたっては、僕が郵便局で働いていた時に使われていたコピーだった。

応募者の中には、電通の方やライターをされている方など本職がちらほら混じる一方、応募するまでコピーライターという職業を知らなかった高校生が二人もいて驚きや嫉妬を感じる。中学3年生の女の子が「ストーリー性のあるコピーにしたかったので……」などと、自身の応募作について語り始めた時は会場中がどよめいた。末恐ろしい。

すべての作品の中から大賞に選ばれたのは、こちら。僕の応募作が残ったのと同じお題、〈「ものづくりの県、静岡」を伝えるコピー〉から。

MADE IN JAPANのピアノは、すべてMADE IN SHIZUOKAのピアノです。

正直、初めて聞いた時はピンと来なかった。語呂がいいわけでも、何かうまいことを言っている雰囲気もない。他の応募作に埋もれて見逃していた。

しかし、その受賞理由には納得しかなかった。審査員の方から出た言葉は「圧倒的なファクト」。つまり、このコピーにあるのは事実だけだと。だが、それは多くの人が驚かされる、強度のある事実なのだと言う。

ピアノのMADE IN JAPAN=MADE IN SHIZUOKAってことを僕は知らなかったし、県外の人が見たらなおさら「マジかよ、やるじゃん静岡」となるだろう。念の為ネットで調べてみるが、YAMAHA、河合楽器、SCHWESTERなど静岡(主に浜松)のピアノメーカーしか出てこない。ゾワゾワした感覚が頂点に達する。

「意外なファクトに気づけたなら無駄な修飾はいらない」と聞いて、僕の自尊心はチリと化す。コピーで一番大切なのは書く対象について調べることだ。よく知っていたはずなのに。知っていたつもりだったのに。僕の書いたものとはスタートの時点で差がついていた。「MADE IN JAPAN〜」はゴールテープ手前から走り出していたのだ。

選考作品の中に、これを見つけられなかった過去の自分にも腹が立った。視野が狭かった。自分の足元しか見ていなかった。

悔しい。

悔しいってことは、少なくとも同じ土俵に立っていると思っているから出た気持ちだろう。来年は。

おまけでもらったノートがかわいかった

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