見出し画像

2021.6.27 毒と蒟蒻について

 今日は読書会がありました。人の考えを聞くのって楽しいですよね。作者の夏目漱石に対して、「説教臭くて嫌だ」や「夫にしたくないよね」等の辛辣な意見が出て、漱石先生に同情しました。8年ぶりの再会もあってエキサイティングな一日でした。

 知人と話していて出てきた、謎食べ物のお話。
 死者を出しまくっているフグを、それでも食べようとした日本人のチャレンジ精神にも驚かされますが、石川県白山市には「フグの卵巣の糠漬け」という郷土料理があります。フグの卵巣にはテトロドトキシンが多分に含まれているため、そのまま食べたら即死です。それを2年以上塩や糠に漬けることで毒素を無効化して食べるというのです。もう、疑問符しか浮いてこないですね。ただでさえ人が死にまくっている猛毒を持った魚の、さらに毒の塊みたいな部分を、どこをどうしたら2年もかけて食べようと思ったのでしょう。郷土料理というからには、きっと毒素を測定する機器が出現する前から存在しているのでしょうから、その2年を計測するために、多くのチャレンジャーが命を落としたでしょう。なぜそこまでして食べたいと思うのか、謎です。
 しかしながら、世の中には「フグの卵巣の糠漬け」より意味不明な食べ物があります。ぼくがもっとも理解に苦しむのは蒟蒻です。原料となる蒟蒻芋にも、やっぱり毒があります。ネズミは死ぬし、イノシシは決して食べません。そんな毒芋がどのようにしてぷりぷり美味しい蒟蒻になるかご存知ですか?
 まず蒟蒻芋を裁断し、乾燥し、粉状にします。それをお湯と混ぜ、さらに石灰水を加えたものを形成して茹で、固まったものを半日以上灰汁抜きして完成です。工程の複雑さもさることながら、最大の疑問は「石灰水を加える」にあります。
 蒟蒻の起源は1000年以上前の中国だといいます。当時は石灰水の代わりに灰を混ぜていたらしいですが、えーと、なぜ? 蒟蒻の製法を見つけた人は、どうして毒芋を砕いたものとお湯を混ぜたものに、灰を入れ、それをさらに茹でて固めようと思ったのでしょう。不可解すぎます。
 古すぎて、さすがに文献は残っていないらしいですが、もしも人生で一度だけタイムスリップできるというのなら、ぼくは迷わず蒟蒻誕生の瞬間に立ち会います。蒟蒻のせいでぼくのチャンスはパーです。反省してほしいです。さらに恐ろしいのが、この蒟蒻の固まる理由が明確にはわかっていないとか……。勘弁してください。
 世界一臭い食べ物「シュールストレミング」や10歳以下の男子の尿で卵を煮る「童子蛋」など、世界には理解に苦しむ食べ物がたくさんありますが、蒟蒻の足元にも及ばないよね、っていう話でした。

 明日(すでに今日)は職業講話です。じつはまだ原稿が仕上がっていません。蒟蒻について蘊蓄を語っている場合ではありませんでした。蒟蒻コノヤローです。それではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?