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出来る中間管理職を見てるよう

先日から投稿してきた人形劇について、
新たに第6シリーズを以下、記載したいと思います。


本作は、

オープニング
   ↓
メインキャラ4人のコーナー
   ↓
エンディング

という形で、1つの回を構成していく前提で考えています。



今回は、メインキャラ4人のコーナーの1つ目、
「ハバネロ姉さんの『行ってみろ!やってみろ!』」をお送りします。


<人形劇 登場人物>


・もんじゃ姫

 →本作の主人公。
  頭の上にもんじゃ焼きが乗った、ぼんやりしてて空想好きな女の子。


・さばみそ博士

 →頭の上にさばの味噌煮が乗った、
  語りたがりで、ついウィットに富んだことを言おうとする男の子。


・ハバネロ姉さん

 →メインキャラで唯一の突っ込み役。唐辛子の髪飾りを着けていて、
  ピリッとした性格で、行動的な姉御肌。


・ブルーハワイ兄貴

 →頭の上にブルーハワイのかき氷が乗った、
  きれいなお姉さんが大好きな、能天気で自由な大柄の兄ちゃん。





~ハバネロ姉さんの「行ってみろ!やってみろ!」~



千葉県某所の朝は、すっかり秋晴れ。


いつもの3人は、今日も今日とて待ちぼうけ。





「こんな朝からお呼び出しとは、一体何なのよ」


そうボヤいているのは、頭にかき氷を乗せたお調子者。


きれいなお姉さんにしか興味がない、ブルーハワイ兄貴。





「皆でピーナッツ畑でも行くのかなぁ」


絶対に当たらない予言を毎回残すのは、頭にもんじゃ焼きを乗せた、

いつもぼんやりしてばかりの、本作の主人公・もんじゃ姫。





「長い待ち時間には打ってつけの、見渡しが良い景色ですな」


程良いトーンの苦言を開口一番残すのは、頭にサバの味噌煮を乗せた、


ウィットとDHAに富んだ穏やかな青年、さばみそ博士。





美味しそうなソフトクリームを食べながら、本日の招集者がやってくる。


「お前達、朝からシャキッとせんか、シャキッとー!」


そう檄を飛ばすのは、唐辛子の髪飾りが目印、


ピリ辛で行動派な姉御肌、ハバネロ姉さんである。





兄貴「自分だけ、何食べとんねん」


もん「姉さん、ズルーいっ」


博士「人に辛く、自分には激甘・濃厚ミルクなお方ですな」


待たされて文句たらたらな3人に構わず、姉さんは言い放った。





姉さん「今日は、甘ったれなお前達に喝を入れるべく、


    マザー牧場のバンジージャンプに挑戦してもらおう!」


3人「バンジージャンプー!?」


しっかりとオウム返しをしてくれる、従順な3人。





マザー牧場の「まきばゲート」に入場した一同。


姉さん「動物達と戯れてから、牧羊犬と羊のショーを観に行くか、


    それとも、いきなりバンジーでも良いぞ」


兄貴「まぁまぁ姉さん、そこは…」


せっかちな姉さんをなだめ、動物達の集う「ふれあい牧場」へと向かう。





もん「わーっ、きれいなお花畑だね」


左側に広がるのは、牧場を彩る鮮やかな花々。


姉さん「これは"桃色吐息"と呼ばれ、夏~初秋が見頃のペチュニアの花だ」


博士「"咲かせて 咲かせて 桃色吐息"ですな」


兄貴「高橋真梨子も、これには思わず吐息が漏れるぜ」





ペチュニアの美しい「花の谷」を通り過ぎ、ふれあい牧場に到着。


生で見る羊達に、「可愛いぃ〜!!」と大興奮のもんじゃ姫。


ゆったりと歩くリクガメに「君、デカいねぇー」と語り掛ける兄貴。


細い木の橋を渡るヤギに「器用なものですな」と感心する博士。





もん「この子はウサギ?それともカンガルーかな」


姉さん「これはマーラという種類の動物だ」


もん「へぇー、色んな動物がいるんだね」





掲示板には、それぞれのマーラの写真と生年月日が貼り出されている。


博士「年齢も様々なマーラ達が、一緒に暮らしているんですな」


もん「"すもも"とか"かえで"とか、名前も可愛いんだね」


兄貴「こういう源氏名があるのも良いよな」


姉さん「源氏名って言うんじゃねぇ」





イベント会場の「アグロドーム」に着いた一同。


牧羊犬と羊のショーを観に、多くの家族連れが詰めかけている。


席も満杯となった所で、いよいよ開演となるようだ。


幕が上がると、ガラスの向こうには牧場が広がっている。





兄貴「あの人は"ハンバーグ師匠"か?」


姉さん「羊飼いだよ!」


カウボーイハットがよく似合うお兄さんが、羊と牧羊犬を呼び寄せると、


小柄な牧羊犬が、大きな羊の群れを上手く導いて走らせている。


もん「とっても賢い犬なんだね」


博士「何だか、出来る中間管理職を見てるようですな」





筋骨隆々な羊飼いが、観客席に向かってマッスルポーズを見せると、


続いてヤギやブタ、アルパカなどが次々と登場。


「わー、アルパカさんだー!」と、もんじゃ姫も大喜び。


代わる代わる出てくる仲間達を、牧羊犬が落ち着いた表情で見送る。





アグロドームを後にし、いよいよお待ちかねの、


「ファームバンジー」へと向かう一同。


姉さんからの「楽しみだな、バンジー」という問いかけに、


「そ、そうだね」と、すっかりビビっている3人。





係員に促され、誓約書にそれぞれ記名。


厳正なるジャンケンの結果、こともあろうに


1番手を引いてしまった、本作の主人公・もんじゃ姫。


ポケットの中身などを全て預け、「じゃ、行ってくるね…」と、


ジャンプ台の階段を上がっていくその後ろ姿は、


何とも言えない悲壮感に満ち溢れていた。





ジャンプ台の下で、ニヤニヤしながら待っている3人をよそに、


階段を上る足がガクガクと震えているもんじゃ姫。


係員のいる最高層まで上がると、周りの景色だけでもうお腹一杯である。





表情一つ変えず、手際良く器具を装着する係員が、


「それじゃカウントダウンしますね、10、9、8、7…」と数えると、


体中の至る所から冷や汗が流れ、心臓が早鐘を打つのを感じた。


「6、5、4…」と、無情にもカウントは進む。


改めて目の前の景色を眺める、もんじゃ姫。


自分がこの高さの空気に飛び込むことが、まるで信じられない。


そして、ついにその時は来てしまった。





係員「3、2、1、 …どうぞ」


もん「どうぞっ!?」


てっきり背中を押してもらえるものかと思っていたら、


飛ぶのは自分の意思ということだそうだ。





しかし、いまさら引き返す訳にもいかないので、


意を決したもんじゃ姫。


唾を飲んで、「ふんっ」とジャンプすると、


真っ青な秋晴れの空が、白く輝くように溶けて消えた。





姉さん「どうだったよ、今日のマザー牧場は?」


牧場の生絞り牛乳を飲みながら、2人に問い掛ける姉さん。


博士「自然豊かで、実に心癒される一時でございました」


兄貴「今日の全てが、あの幸せそうな顔に現れてるよ」





ジャンプ場の下から見えた、もんじゃ姫の雄姿。


長いゴムに吊るされた彼女は、遠目でも分かる程、


とても穏やかで、安らかな表情をしていた。





~ハバネロ姉さんの「行ってみろ!やってみろ!」 終わり~

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