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移動式メリーゴーランド ー『たびする木馬』ー<4>

2つ目の居場所だった小さな遊園地も、時の流れに逆らえず閉園することになりました。閉園は「リボンの色がうすくなったころ」とあるので、数年もしくは十数年の時間が経過したのだと推測できます。

実際の原画の色味は少し異なります。

ブランを含む回転木馬たちは解体され、ブランはここから移動式メリーゴーランドとして転々と村をまわるようになります。

ここでふと、「移動式メリーゴーランド?」と疑問が湧きます。店主は生まれておよそ40年ちょっとですが、移動式のメリーゴーランドを観たことがありません(皆さんはありますか?)

ちょっと調べてみると、日本ではやはり馴染みがあまりない移動式メリーゴーランド(もっと広義で言えば移動式遊園地)ですが、ヨーロッパでは18世紀ごろから現代に至るまでわりとメジャーな遊園地施設のようです。Google検索をすると写真でいくつか移動式メリーゴーランドが検索ヒットします。それをみると本当に小さな小さな一周するのに数十秒くらいしかかからないようなおもちゃのようなメリーゴーランドのようです。

ブランは本当に小さな居場所に身を置くことになってしまったのがわかります。一方、この動きがダイナミックで素晴らしい技師たちの改良技術はとても高いのだと思います。古きものをずっと直して使っていこうとするのもヨーロッパの風潮のような気がします。

ブランは移動式メリーゴーランドになってもさびしい気持ちを隠して賢明に働きます。背中に乗る人たちの笑顔のために。

この時に一緒にいた仲間(フクロウ、ロバ、白鳥、黒豚)はこのあとどうなるのかも気になりますね。


牡丹靖佳『たびする木馬』(アリス館)絵本原画展
|会期| 2023年8月18日(金)-9月3日(日)
*会期中、8月22日(火)・25日(金)・29日(火)はおやすみ



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