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自炊の味がわからない

両親が突如移住し、唐突な一人暮らしが始まってから1年半が経った。そして最近、父と母が長く暮らした私の本籍地の傍に越してきた。

働いたり稽古だったりでばたばたしていて、食事は近所のご飯屋さんやまいばすけっとにかなりお世話になっていた。それで今日の昼、やっと自宅のガスコンロを使った。
ご飯を炊いていたのでナスを炒めて麻婆茄子っぽいものを作っただけだけど。

たぶん、結構おいしい、これ。
でも、なんか、味がよくわからない。

材料は調べてチラ見したし、家にあるこだわりの調味料は最強なんだけど。

味がしないんだよなぁ。

多分、ものすごく料理が出来ない訳では無い。最近は友人の家に行ったり来てもらったりしてご飯を作ることもある。人のために作ると自分もバランスのいい食事が食べられるっていうのが主な理由なんだけど。

そういえば、人に作る自分のご飯はまぁ、味がする。おいしいねって一緒に食べる。

そうか、じゃあ一人で作って食べるご飯に限ってのことだ。味がしないっていうのはたぶん、食べてる感じがしないってことなのだ。一応なんとなくこういう事なんじゃないかって考えは自分の中であって。


きっと、おままごとの延長なんだ。


最初の一人暮らしは、秘密基地に籠っているきぶんだった。秘密基地では、食事を作るのも洗濯をするのもいつかの見よう見まねで、ごっこ遊びの延長でしかなかった。


転居をして参りましたが、やっぱりひとりの秘密基地暮らしでは、「本当に生活をしている」って実感が湧かないのね。これってずっとかしら。それじゃちょっとふわふわしてて困るなぁ。あれに似てるよ、会いたい人がもうこの世にいないって事実。

もしほんとにこれに近い感覚なんだとしたら、ふわふわの中でもなんとか地面に足をくっつけて、なんとか暮らさなきゃいけないね。

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