『ポポロクロイス物語』~やさしい絵本のような世界
ポポロクロイス物語との出会い
『ポポロクロイス物語』とは、ソニー・コンピュータエンタテインメント様から発売されているゲームシリーズです。
原点は新聞に掲載されていた漫画作品ということですが、わたしが最初に手に取ったのは、初代プレイステーションで発売されたシリーズの最初の作品、『ポポロクロイス物語』でした。
といいつつも、実は初めてこの作品自体を知ったのは、ゲームシリーズのコミカライズとしてコロコロコミックで掲載された『ポポロクロイス物語~ピエトロ王子の大冒険~』でした。
物語としては、ブリオニアの墜落あたりくらいまでの内容を2号に渡って掲載していたと記憶していますが、間違っていたらすみません。
とにもかくにも、ゲームへの導線のように途中までしか描かれていない漫画を読んだわたしは、そこからお手伝いやらなにやらをしつつ、せっせこ貯めたお小遣いを持って、『ポポロクロイス物語』を求めてゲーム屋へと走ったのでした。
絵本のようなやさしい物語
はじめて『ポポロクロイス物語』をプレイした感想は、「まるで絵本を読んでいるようだなぁ」でした。
ヒロインのナルシアや、西洋甲冑を着込んでいるのにござる口調が独特な白騎士といった、子ども向けに見えるかわいらしいキャラクターたち。
わかりやすい悪役として登場するガミガミ魔王と、彼が狙う「知恵の王冠」、それを取り返しにいくピエトロ王子の小さいけど大きな冒険。
当時はまだ子どもだったわたしは、それでも絵本という読み物からは十分に遠ざかっている年頃。
「絵本は子どもが読むものであって、わたしはもう読まないのだけど」と、少しだけ恥ずかしさを覚えながらも、そのやさしい世界観に惹かれていくのを感じていました。
思えば当時から少し感受性が強かったのでしょうね。
これが必ずしも良いものであったとは思いませんし、感情のコントロールが効きにくく大変だったこともあるのですが、こういった物語に対して素直に心を動かされるというのは、今のわたしの人生において大きな助けにもなっています。
さて、話を作品に戻しましょう。
この物語の前半は、そんな絵本のようなやさしい世界で、子どもであるピエトロにとっては大きな冒険を繰り広げるのですが、後半はシリアスな物語へと変わっていきます。
母を求めた冒険へ
ガミガミ魔王との戦いが一段落着いた頃、ピエトロは死んだと思われていた母・サニアが実は生きていることを知りますが、彼女の魂は闇の世界に捕らわれてしまっていることも知ってしまいます。
そして、闇の世界に行くには、「ピエトロ自身が死ななければならない」という厳しい条件を叩きつけられます。
それでも諦めきれないピエトロは、父・パウロに何度も反対をされながらも、彼が母の魂を救う旅に出ることを許されるのです。
ナルシアや白騎士に、そしてかつての敵であったガミガミ魔王にも支えられながら、彼は母親を求めて苦しい旅を続けていくのです。
その冒険の果てに彼は母と再会できるのでしょうか?
ピエトロとナルシアの恋の物語
これは、1作目の『ポポロクロイス物語』だけに収まらない話になってしまうのですが、ピエトロとナルシアの恋の物語が、ピエトロを主人公とする『ポポロクロイス物語』シリーズでひとつのテーマになっていると思います。
『ポポロクロイス物語』において、ピエトロよりもひとつ上のお姉さんと登場したナルシアは、ちょっと頼りない彼を支えるために、旅に同行することになります。
この時点ではややお転婆でお姉さん気質な彼女も、「知恵の王冠」を取り返すためにガミガミ魔王に立ち向かい、母親を救うための過酷な旅を続けるピエトロに次第に惹かれていくわけです。
ナルシアの献身は1作目の時点でもピックアップされていて、自分の身の危険も顧みずにピエトロを助ける場面もあるくらいです。
それは、頼りない弟のようなひとつ年下の男の子を守るという感情から来る行動というよりは、思いを馳せる相手を身を挺してでも守りたいといった行動だと、今では思うのです。
この時点でナルシアはピエトロに惹かれているのだと想像できます。
しかし、彼らの恋の物語が大きく動くのはピエトロ世代の最終作『ポポロクロイス物語Ⅱ』のこと。
子どもから大人へと変わっていく彼らは、多くの出会いや冒険を経て、幼くはあっても確かな愛を育んでいきます。
その結末に何があるかは、ぜひゲームをプレイしていただきたいと思います。
歳を重ねるたびに変わる注目のポイント
絵本のような世界観で冒険を繰り広げるピエトロ王子やその仲間たちの物語。
ありきたりな冒険譚といえばそれまでですし、はじめてプレイした子どもの頃には漫画やプレイしてきたゲームで似たような作品をいくつか見てきました。
しかし、『ポポロクロイス物語』に出会って得た感動は、それまで出会ったものとはまた違ったものでした。
立場こそ王子様ですが、その中身は本当に子どもで、天真爛漫に描かれながらも、その中に母の愛を知らない哀しみを秘めたピエトロの物語は、当時のわたしに新たな感動を与えてくれたのです。
10代の少年や、大人が主人公の話では描かれないナイーブな部分を見せることもあり、当時のわたしに近い年齢であったピエトロの頑張る姿を見ることが楽しみでした。
しかし、年齢を重ねるごとに視野も広がり、見る部分も変わってきたのです。
ピエトロは、本当に多くのやさしい仲間たちに囲まれている。
彼が過酷な冒険の中でも子どもでいられ続けられたのは彼らの支えがあってこそだと思い、彼らの個性に目が向くようになっていったのです。
普段は頼りになるのに、高いところやオバケが苦手だったり、よく何かに埋まる描写がされるなど、どこか間の抜けた感じに描かれる白騎士。
悪役として登場しておきながら悪役にはなりきれず、人情に厚く、なんだかんだでピエトロを助けてくれるガミガミ魔王。
歳下のピエトロを気にかけて、本来自分の力が及ばないところでさえ、自らの身を危険に晒してまで彼を支えようとするナルシア。
そんな仲間たちに支えられながら母を求めて過酷な冒険をする中で立派に成長していく少年ピエトロ。
それぞれに個性が強くて、それぞれの野望や願望は持っているけれど、母を求める少年の勇気を見て、手を差し伸べる多くの仲間たち。
続編において、ピエトロを取り巻く環境も変わっていくのですが、その頃にはピエトロも大人の世界に足を踏み入れ、仲間との関係性も少しだけ変わっていきますが、それはここで語ることではないでしょう。
そんな絵本のようなやさしい世界に生きる彼らのことが、このゲームをプレイするたびにより深く好きになっていくのです。
やさしい物語に触れてみたいと思った方、既プレイであってもこの記事を読んでもう一度触れてみたいなと思った方がいらっしゃったら、ぜひプレイしてみてほしいです。
きっと何か、心を刺激するものを見つけられるのではないかと思います。
余談(後記)
久しぶりの更新なので簡単に近況報告だけ失礼します。
しばらく更新の間が空いてしまい申し訳ございません。
ようやく怪我も良くなってきましたので、今後もゲームの話題を中心にしつつ記事を更新していきます。
今後はゲーム以外にもわたしの「好き」を文字で表現できればと思っているので、記事の更新はゲームに限らないことだけご理解くださいませ。
それでは、また次回も読んでいただけると嬉しく思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?