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映画と音楽と本をこよなく愛するover50男性です。

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最近の記事

【音楽レビュー】生涯のベスト『プリテンダー』

Jackson Browne/Pretender 自身が70年代で最も素晴らしいと思っているシンガーソングライターは、間違いなくこのジャクソン・ブラウンです。 『Pretender』は、彼にとって非常に個人的な背景を持っており、このアルバムの制作中に愛妻フィリスがまだ幼い息子イーサンを遺して自殺してしまうという悲劇を経験しました。多くの曲はその出来事の前に完成していたそうですが、聴く側の捉え方なのか、作品全体が深い悲しみに覆われているように感じられます。ただ、そのことが結

    • 【映画レビュー】生涯のベスト『赤ひげ』

      黒澤明/赤ひげ [1965] かつてYMOの高橋幸宏さんがこの作品を「日本の映画で一番好き」と語っていたという記事を読み、とても嬉しかったのを記憶しています。 公開当時、監督自身も自身の集大成と位置づけていたとのことですが、その名に相応しい、円熟した味わいのある不朽の名作です。 『赤ひげ』は、山本周五郎の『赤ひげ診療譚』を基にしたヒューマニズム溢れる人情ドラマです。江戸時代の小石川養生所を舞台に、庶民の人生模様と、通称「赤ひげ」と呼ばれる所長(三船敏郎)と青年医師・保本

      • 【音楽レビュー】生涯のベスト『レイン・ドッグ』

        Tom Waits/Rain dogs 1985年当時、こんなレコードが世に出てくることを誰も予想できなかったのではないでしょうか? ジャンルを問われても答えようもない、古いような新しいような、時代を全く無視した無国籍な音。 混沌としているようで、一度聴いたら耳から離れない印象的なメロディとあの形容し難い声。 ジャケットも印象的です。 トムによれば、「酔った水兵が売春婦の胸に抱かれている。女は笑っているが、男はすっかり酔いがさめている。この写真を初めて見た時、釘付けに

        • 【音楽レビュー】生涯のベスト『ドニー・ハサウェイ/ライブ』

          Donny Hathaway/Live 数多のライブアルバムの中でも、群を抜いて素晴らしい、奇跡のような名盤中の名盤。 最初に聴いたのが意外と遅く20年ほど前でしたが、今でも聴くたびにその時の感動がよみがえります。 このアルバムや翌年にリリースした「愛と自由を求めて」を聴く限り、彼は間違いなくマーヴィン・ゲイ、スティーヴィ・ワンダーに引けを取らない天才でしたが、精神的に脆く、33歳という若さで自ら幕を閉じてしまいました。 演奏、アレンジ、選曲、歌唱どれをとっても信じが

        【音楽レビュー】生涯のベスト『プリテンダー』

        • 【映画レビュー】生涯のベスト『赤ひげ』

        • 【音楽レビュー】生涯のベスト『レイン・ドッグ』

        • 【音楽レビュー】生涯のベスト『ドニー・ハサウェイ/ライブ』

          【文学レビュー】生涯のベスト『星々の舟』

          村山由佳/星々の舟 《幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない。》 この作品の最終章に出てくる、象徴的な一節です。 「星々の舟」は、あるひとつの家族の物語を、各章で主人公を変えながらそれぞれの視点で描いています。 《雪虫/子供の神様/ひとりしずか/青葉闇/雲の澪/名の木散る》の短編6連作で構成されており、主人公は話の順番に、三男の暁、次女の美希、長女の沙恵、次男の貢、貢の娘の聡美、そして父の重之です。 あえてここでは触れませんが、それぞれが抱えている心の秘密が辛く重い

          【文学レビュー】生涯のベスト『星々の舟』

          【映画レビュー】生涯のベスト『第三の男』

          The Third Man/第三の男 もはや映画評など無意味な、不滅の金字塔です。 モノクロ映画の長所を存分に活かした光と影のコントラスト、息もつかせぬ緊張感あふれるストーリー展開、俳優たちのいぶし銀のような演技。全編に流れるアントン・カラスのツィターの響き。一枚の絵画のような美しいラストシーン。 かつて、故淀川長治氏がこの映画について「あまりに見事すぎて、惚れ込んだけれど嫌気がさす」と評していましたが、それほど素晴らしいです。 『第三の男』は、1949年のイギリス映画

          【映画レビュー】生涯のベスト『第三の男』

          【映画レビュー】生涯のベスト『L.A.コンフィデンシャル』

          L.A.Confidential 初めて映画館で鑑賞した時の感動を忘れることができません。これぞ映画!と拍手喝采を贈りたい、映画史に残る現代版フィルム・ノワールの傑作です。 『L.A.コンフィデンシャル』は、ジェームズ・エルロイの『L.A.四部作』の第3部が原作ですが、それを名手カーティス・ハンソンが大胆かつ緻密に脚色し、完璧な脚本と映像に仕上げました。 1950年代のロサンゼルスが舞台となっており、ナイトアウルというカフェでの大量殺人事件を中心にストーリーが展開してい

          【映画レビュー】生涯のベスト『L.A.コンフィデンシャル』

          【音楽レビュー】生涯のベスト『ディクシー・チキン』

          Little Feat/Dixie Chicken (1973) 最初にこのレコードを聴いた時の衝撃は今だに忘れることができません。 リトル・フィートは、《天才》ローウェル・ジョージ (カウボーイハットの彼) を中心に結成されました。師匠は御大フランク・ザッパです。 『ディクシー・チキン』は、アメリカン・ロックの70年代において特異な存在感を放っています。バンドは、南部のR&B、ブギ、カントリーなどの多様な音楽スタイルを融合させ、豪快でファンキーなロック・サウンドを創り

          【音楽レビュー】生涯のベスト『ディクシー・チキン』

          【文学レビュー】生涯のベスト『冬の伽藍』

          小池真理子/冬の伽藍 直木賞作家、小池真理子の長編恋愛小説。 彼女の作品はかなり読みましたが、本作が私的ベスト。既に何度か再読しています。 孤独な男女が冬の軽井沢で出逢い、強く惹かれ合っていくのですが、ある人物の登場で事態は思わぬ方向へ展開します。 三部構成で、とりわけ手紙のやり取りの二部、主人公の親友の視点で語られる三部には唸りました。 やはり恋愛小説の名手である唯川恵が解説を書いています。 「この美しい結末に、涙することのできる自分が嬉しかった。大丈夫、私はまだ失

          【文学レビュー】生涯のベスト『冬の伽藍』

          【映画レビュー】生涯のベスト『6才のボクが、大人になるまで。』

          6才のボクが、大人になるまで。/Boyhood 2014年のアメリカ映画ですが、内容の素晴らしさに迷わず《生涯のベスト》認定です。 監督・脚本はリチャード・リンクレイター 、出演はパトリシア・アークエット、イーサン・ホーク、エラー・コルトレーン、ローレライ・リンクレイターです。ちなみにローレライは監督の実娘です。 本作は、エラー・コルトレーン演じるメイソンの、 6歳から18歳までの12年間を描いた成長物語です。原題の《Boyhood》は少年時代の意です。 両親のオリヴ

          【映画レビュー】生涯のベスト『6才のボクが、大人になるまで。』

          【音楽レビュー】生涯のベスト『1999』

          PRINCE/1999 《天才》という表現は彼にこそふさわしい。 2016年4月21日、プリンスの訃報を運転中のラジオで聴いた時、強い衝撃を受けたことを今でも思い出します。 デビュー当時は際どい歌詞や過激なレコードジャケットなどのイメージでキワモノ扱いされ、そういう自分もあまり好きではなかったのですが、『1999』を後追いで聴いて一発で大ファンになり、今に至ります。 1982年にリリースされたこのアルバムは、彼のキャリアにおける重要なターニングポイントであり、後の音楽シ

          【音楽レビュー】生涯のベスト『1999』

          【映画レビュー】生涯のベスト『ゴッドファーザー』

          The Godfather(1972) これまで何千という映画を観てきましたが、何十回も繰り返し見たものはそんなに多くありません。 そのひとつがこの『ゴッドファーザー』です。 すでに語り尽くされてきた問答無用、不朽の名作ですが、隅々まで知っているのに毎回食い入るように観てしまうこの映画の魅力、いや魔力を備忘録に残しておこうと思います。 映画『ゴッドファーザー』は、マフィアのドン、ヴィト・コルレオーネを中心に描かれる壮大なドラマです。物語は1940年代のニューヨークを舞台

          【映画レビュー】生涯のベスト『ゴッドファーザー』

          【映画レビュー】生涯のベスト『裏窓』

          裏窓/REAR WINDOW 今更説明不要のザ・ヒッチコック不朽の名作。 中学生の時に父がレンタルしてきたビデオを一緒に観た時の衝撃と興奮を今でも鮮明に思い出します。 あれから数千の映画を観てきましたが、その原点とも言える、私的な金字塔作品です。 見どころ 数十年ぶりにあらためて観ましたが、素晴らしい! シチュエーション、ストーリー展開、カメラワーク、ウィットに富んだ会話、あっと驚くラスト‥‥ 決して色褪せない、紛うことなき傑作です。伝説の女優、グレース・ケリーの知的で

          【映画レビュー】生涯のベスト『裏窓』

          【文学レビュー】生涯のベスト『ラブレス』

          桜木紫乃/ラブレス 若い頃からジャンルを問わず小説を読むことが好きで、休みの日に書店でたまたま手に取った文庫本の背表紙にあった上記の概要を目にし、即購入しました。 読み始めたら止まらず、食事も忘れ夢中で最後まで読み通し、深い感動をおぼえたことをはっきり記憶しています。 「ラブレス」は、百合江と妹・里実を中心に展開される、家族の物語です。幼少期から60年に渡る波乱万丈な人生を通じて描かれる二人姉妹の絆や女三世代の生き様が巧みな筆致で描かれ、物語にぐっと引き込まれます。

          【文学レビュー】生涯のベスト『ラブレス』

          【音楽レビュー】生涯のベスト『メインストリートのならず者』

          Rolling Stones/Exile On Main St. ローリングストーンズ1972年のアルバム『メインストリートのならず者』は、私にとって青春時代を象徴するような特別なレコードです。高校生の時にクラスメイトからベスト盤のカセットテープをもらい、それまで聴いたことのない黒いリズム感、ルーズなギターサウンドにすっかりハマり、それをボロボロになるまで聴いていました。その後、少しずつオリジナルアルバムを買い揃えていったのですが、中でもこのアルバムを一番聴いたと思います。

          【音楽レビュー】生涯のベスト『メインストリートのならず者』

          ファーストnote〜自己紹介

          はじめまして、YOMOと申します。 横浜市在住の平凡なサラリーマンです。50代に突入し、人生の節目を迎えました。様々な仕事や経験を積み重ねてきましたが、長年変わらずに続いたものが映画や音楽の鑑賞、そして読書で、観たり聴いたり、そして読んだものが少なからず自身の考え方、生き方にも影響しているように感じています。 noteを始めた理由は、人生の棚卸しをしたいと思うようになったからです。40年近く続けている趣味について、自分の本当に好きな作品だけを紹介し、その魅力をお伝えできた

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