上野水香の、ボレロ。
初めて彼女のボレロを見たのは2006年の東京でした。
それまでジョルジュ・ドン、シルヴィ・ギエム、首藤康之、後藤晴雄という円熟のボレロを観ていたので、彼女のフレッシュなボレロはとても新鮮だったんですけど、振りの抑揚と緩急のメリハリ、タメのリズムと発散のダイナミズム、点在する余白が絶妙にぎこちなかったのを何故かはっきりと覚えているんです。
まるでまだベジャールのボレロを追いかけ、追いつこうともがいていて、自分のボレロを編み出す苦しみの渦中にいる、そんな印象を受けたんですよね。