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芸大・美大のオンライン授業化——今の文科省通知では足りないこと

こちらの記事で、新型コロナの感染拡大防止策として行われるオンライン授業によって表面化した、授業内容と授業料の問題について取り上げました。

この記事では、特に芸大・美大は対面指導を中心とする演習系の授業が多く存在しており、オンライン授業ではとても例年通りの授業内容とその質は確保できないと指摘しました。

大学・学生への国からの交付金や助成金による経済的な学費支援とは別に、授業内容の変更を理由とした大学単体による学費の減免が難しいなか、僕たち芸大・美大生は、「今年度前期に例年通りの質を確保できなかった演習系の授業に関しては、今年度後期以降に振り替えて実施する」ということを求めていくべきだと思います。

しかし、そこに立ちはだかるのは、厳格なシラバスです。文科省は、授業のコマ数、授業内容・計画、課題内容、単位認定の基準など、シラバスを細かく厳格に設定するよう大学に求めています。これらを各大学の事情に合わせて柔軟に変更して対応しなければなりません。

と言っても、この緊急事態に文科省が何も動いていないわけではありません。

文科省は、「令和2年度における大学等の授業の開始等について(通知)」(元文科高第1259号 )〈令和2年3月24日付け 文部科学省高等教育局長通知〉という通知を全国の大学等に出しています。ちなみに、省庁が出す「通知」は法令ではなく法的拘束力はありません。「助言」に近いものです。

この通知では各大学等に対し、新型コロナの影響でオンライン授業になったことを鑑み、令和2年度の授業時間について弾力的に取り扱っても差し支えないこと、その際、シラバスの変更を行っても差し支えないとしています。さらに、単位認定方法についてもその方法は縛られることはなく選択できるものとしています。

座学が中心の学部であれば、こうしたシラバス上の柔軟な対応で乗り切れることは多いでしょう。しかし、ただ単に、単位を認めるための対応だけでは足りないのが、芸大・美大の演習系の授業だと思います。

文科省には、大学等に対して、今年度後期以降へ授業を振り替えて実施するなどして、説明・宣伝していた授業内容とその質をできるだけ確保するようしっかり求めてほしいです。今の通知のままでは、オンライン授業化で授業の質の確保が全くできなていない授業を受けざるを得ない学生への配慮が足りません。

授業内容とその質は、学生がその大学に在籍している意義そのものです。そこがあやふやなまま、高額な学費の請求がくることはおかしな話です。

なんとかしてほしい!!!


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