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父を自然葬してきました

はじめに(及び配信アーカイブご案内)

2022年11月2日に四十九日を過ぎたので11月12日に自然葬ということで父の遺骨を海へ全散骨してまいりました。
まだまだ馴染みの薄い、比較的新しい追悼の形である自然葬。
その体験談をツイキャスにて雑談配信いたしました。
前半は緊張のあまりに息が足りなくて苦しくなってましたゴメンナサイ🙇

今回はその内容を再編集し、補足も加えつつまとめてまいります。
なお《》内はトークで語り損ねたお話や補足などです。
完結にまとめるつもりが余計にボリュームアップしました(大笑)

アーカイブはこちら2枠分、約50分程度になります。
よみねこ☆ゆる雑談・自然葬体験談1
よみねこ☆ゆる雑談・自然葬体験談2

自然葬とはなんぞや?

海や山などの自然の中に遺骨を還す葬送の方法の一つで具体的にはパウダー状に粉砕した遺骨を撒く埋葬の仕方。
お葬式を行った後に改めて行うのでお墓がある場合の納骨みたいな感覚で私はおりました(全散骨や分骨については後述)。
時期に決まりはなく、一般的に気持ちの整理がつく四十九日・一周忌・三回忌などの区切りに行う方が多いようです。
我が家も四十九日を過ぎた頃ということでお願いしました。

まず法律的にはどうなのかというお話。
パンフレットより引用

古来は遺体を自然に還すという埋葬方法が一般的に行われていたものの、1948年に制定された『墓地・埋葬に関する法律』(埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない)と、刑法190条『遺骨遺棄罪』(遺体・遺骨等を損壊・遺棄することを罪として禁じる法律)の規定により、散骨は長らく一般的に違法行為と受け止められていました。しかし、死して自然へ還るという散骨への関心の高まりを受け、1991年に法務省は「節度をもって行われている限り、違法性はない」という見解を示しました。

サン・ライフ「自然葬(散骨)のご案内」パンフレットより

「節度をもって行う」という観点から

●葬送の目的をもって行うこと
●遺骨を、骨と分からないくらいに細かく粉骨して撒くこと
●他人の土地や公共敷地内に勝手に散骨しないこと
●海への散骨は陸より6海里(約12km)以上の沖で行うこと
●自然環境に配慮し、献花等は自然に還りやすい形状であること

サン・ライフ「自然葬(散骨)のご案内」パンフレットより

などいった配慮のもとに行われます。
《遺骨を粉砕せずそのままじゃ、ある日流れ着いたこの遺骨はなんだ〜!?とオオゴトになりますしそれでは自然にも還れないですよね😅》
「いつもこの辺で釣りしていたから〜」なんて釣り場に陸からパラパラと勝手に撒くわけにはいかないのです。
お花を散らすときにも見出し画像(姪が撮影、手は私です)のように花びらだけにする、紙は水に溶けるものを使う、食べ物は細かくして投げ入れる、飲み物は中身のみを注ぐ、など
なるべく海の中で分解されやすいように気を使っていました。

自然葬には海以外にも山と空があり
山は海同様に粉骨した遺骨を山に散骨する形。
(ちなみに「樹木葬」は正に木が墓標代わりであり、墓地として許可を得た土地へ収骨器ごと埋める〜という違いがあります。)
空は海の派生的で散骨海域上の空から散骨する形。
《ヘリコプターで自宅上空などを旋回できるというのが船で沖に出る散骨との違いですね。》

父を自然葬した経緯

配信前にTwitterの方にご質問を頂いてました。
「散骨する海域を決めた経緯と理由は?」
シンプルに答えると父の生前意志であったから。
海域については父が生前に馴染みがあった土地の海、かつ会員だった互助会の葬儀社様のプランが相模湾沖、湘南の海であったから。

父は会報やパンフレットを見ながら自分の葬式はこういう風にして欲しい(このコロナなご時世関係なく我が家は「家族葬・一日葬のシンプルな納棺式的なお別れ式にしよう」と前々から決めておりました)と言ってましたし、
「俺は釣りが好きだったから自然葬でこの海に還るのいいなぁ」と本気で言ってました。
出身が伊勢原。
腎不全の治療が始まる前、まだ元気だった釣りが好きだった時期には国府津や江ノ島の海にも行っていました。

お墓も要らないし別にどこかの檀家というわけでもないからお坊さんを呼んでのお経も要らないと。
不思議とそのへんの価値観は我が家は昔から共通していて母も姉も私もできるなら自分もそうして欲しいと思っている節があります。
《よく考えるとこんなに慣習にとらわれずに自分の意志を持てるというのは
私の両親ってこの世代にしては大変に柔軟で「ハイカラ」で思い切った考えができる人たちだなぁと思うこともしばしばです。》
というわけで実際に父が亡くなった後には何の迷いもなく全て父が言っていたとおり粛々と進めていった次第です。
憧れがあってもやはり伝統や習慣というのはどうしたってありますし、元々の先祖のお墓がある方もいらっしゃるでしょうし
私達のように思い切った新しい自由なスタイルというのはなかなか選びにくいと思いますが
我が家の場合、何のこだわりもなくためらわずに選択できたのには環境もあったと思います。
《元々、親戚関係も繋がりはさほど深くもなく、また両親はそれぞれ末っ子だった為に両親たちの両親(私の祖父母)も既に他界、兄弟(私の伯父伯母)も他界された方が多くまた高齢や闘病中など葬儀に参列するのも困難な方が多いのです。姉の義父母も既に他界してますし。そんな事情から本当に近い家族(母・姉・義兄・姪・私)だけで家族葬や自然葬を行いやすかった──というのは少なからずあったと思います。》

葬儀プランのお話《自然葬証明書》

《ちょっと宣伝になってしまうかもしれませんが参考までに私達が葬儀から自然葬までお願いした会社は平塚にある「サン・ライフ」さんでした。
こちらの会社は平成6年から自然葬を扱い始めて実績もあり、全部自社で責任を持って行ってくれるのでとても安心感がありました。
海の散骨も15名乗りの自社クルーザー(きれいでゆったり)を持っていらっしゃいますし
各種資格を保持されたスタッフがとても頼もしく、気遣いも細やか。
疑問点がないように丁寧に応対してくださりました。
例えば担当さんはとても気が利く方で
こちらの話を聞くやいなや
直前でしたのに宿泊のプランの対応をすぐさましてくださって。
さらっとそういうことをしてくださるのはすごいことだなぁと感激しておりました。

平塚新港を出発して相模湾沖の散骨海域に行き散骨して帰還しますがその様子はGPSで記録されていて後日いただける「自然葬証明書」に緯度経度まで記されているので
後に散骨した場所そのものにお参りして故人を偲ぶことも可能!》

後日頂いた自然葬証明書。緯度経度も記されている。
我が家は飾りやすい小さなフレームVer.にしていただいた。

皆で「海は全部繋がっているからこれからは父を理由にしてどの海でもいいから海にお参りしよう」と言っております。

12名まで参加可能ですが私達のように貸し切り1家族のみということもできますし
2〜6家族合同というプランもあります。

天気次第!

やはり自然相手なので天候に左右されるため予定はギリギリまで決定ではないというのが大変なところだと思います。
延期などがあると参加する人のスケジュールが天気に振り回されるのでそこが自然葬の一番の難点ですねぇ。
悪天候で何度も延期になったご家族もいらっしゃったとか。
私達は本当に天気に恵まれて「さすがお父さん!」って皆で言っていました。
運が良いと見えるという富士山は向こうの雲に隠れて見えなかったけれど
全体としては雲もほとんどない清々しいまでの晴れで見渡す限り青の世界でした。

空の青と海の青!
江ノ島は遠くに見えました。

波も風もほとんどなく、凪。
翌日は風も強く荒れる天気予報だったので残念ながら既に中止が決定していたようです。
雨が降っても風がなければ雨具を着て出港できるそうですけどやはり天気が良いにこしたことはないですねぇ。
担当さん曰く、今くらいからの冬の海が一番美しいそうです。
良い時期で本当に最高でした。
ああ、お天道様ありがとうございました☀

服装のなるほど

パンフレット等はイメージ画像なので喪服姿だったりするのですが
実際は「平服、軽装、ゴム底のスニーカーなど」。
船に乗ったり山登りしたりなので安全のためにも動きやすい格好。
そして一般の方の目に触れるところに行きますから喪服の集団がいたらちょっと浮いてしまいます。
ちなみに
11月だし海だし、と私はたくさん防寒具を持っていったのですが
とても暖かい(というか暑い)日だったので上着も脱いでしまったし荷物になっただけでトホホでありました。
ラフな格好でリラックスしてまるで家族旅行のようにクルージングを楽しみました。

日差しは強いのでサングラス、オススメです(笑)
《どうでもいい情報ですがこれは眼鏡の上からかけられるサングラス。コールマンのお気に入りのものです。だいぶコーティングが剥げてきた…》

マスクよれてるしカメラのストラップがタートルネックを潰してるぞ、おい🤣
撮影は姉。


救命胴衣カッコイイ!

船首に立ってポーズ。姉撮影。

カメラが乗っかっちゃっていますが。
このウエストポーチは実は救命胴衣。
こんなにコンパクトでカッコイイのがあるんですね〜!
紐を引くと肩にかける浮き輪状の救命胴衣が出てきます。
こんな風にクルージングは安全面にもしっかり配慮がされていました。

散骨の流れ

詳しい話はツイキャス配信の方を聞いていただいた方がワチャワチャしていた感じが出て臨場感もあり(?)良いと思いますので
こちらではざっとご説明。

船の前で記念撮影して船に乗り込み各種説明を受けた後
まずは祭壇に全員それぞれ献花。
祭壇には自宅から持ってきた遺影の小さい方とお預けして粉骨していただいた遺骨。
お花や供物。
船の上なので焼香はしません。

出航すると散骨海域に着くまではフリータイム。
天気が良かったので甲板に出て景色を楽しむなど思い思いに過ごしました。
《私はこの時に写真を撮りまくったせいで酔い止めを飲んでいたのに酔いそうになりました……自業自得》

目的の海域についたらいよいよ散骨。
船尾から海に散骨をして好きだった食べ物等を捧げます。
粉骨された遺骨は水に溶ける紙でできた袋に入れられ、こんな風に人数分(+α)程度に分けられています。

港へ移動する際に骨壷が入っていた箱を失礼して開けさせてもらい撮影。
遺骨の入った袋と皆が折った折鶴や紙飛行機など。

《骨壷に無理やり押し込められたくらい多かった父の骨もカサはこのくらいに。
ですが、さすがにこの袋の一つ一つもしっかりとした重さがありました。》

散骨は船のへりにかからないよう気をつけてサラサラと撒き、8〜9割ほど散骨したら袋ごと投げ入れる。

散骨。さらさら〜っと。
(撮影:スタッフ様)

サラサラと撒いた骨は太陽の光を浴びてキラキラとラメのように光ります。
《透明度の高い海水にキラキラと落ちていき、うっすら白っぽい帯を引く。
そして投げ入れた袋が水に溶けて中身が弾けるとフワッと広がるのが見えます。》

「散骨する際、気をつけたほうが良いポイントはありますか」
とTwitterの方に事前にご質問いただきましたが
ヘリにかけないことと、できるだけ遠くに放ったほうが美しいです。

折り紙なども捧げる。

自分で折った折り鶴。
(撮影:スタッフ様)

折り鶴はプカプカ浮いてきれいですし、紙飛行機もなかなか良い感じです。

好きだった飲み物や食べ物も捧げる。
※トーク内で枝豆スナックと申しましてましたが正確にはえんどう豆スナックです。

餅や餅米が好きだったのでコンビニの赤飯おにぎり。
おこわが無かったので…
「ええい、これも門出じゃ!めでたい」こじつけて(笑)
小さく一口大にちぎってポーンと。
(撮影:スタッフ様)
お酒。ラベルがカメラを向いているのは意図的(笑)
手に持っているのは次に捧げる甘酒。
(撮影:スタッフ様)

《配信コメントのご質問に答えきれていなかったので補足。食べ物飲み物以外の、例えば本だとか服だとかは水に溶けないのでNGだと思います。》

最後に献花。
お花は環境配慮で茎を除き花びらだけになっていますがとてもきれいです。

見出し画像の全体。
姪撮影。決定的瞬間、写真上手いなぁ😳
姪と同じタイミング。
花吹雪のよう。
(撮影:スタッフ様)

最後に黙祷をして鐘をカーン…カーン…と鳴らしながらポイントを3回旋回。

ラストは警笛を鳴らし一礼をして
お別れです。

徐々に遠ざかる花びら達を見送る時は流石にグッと来て泣きそうになりました。

散骨地点を示す花びらを見送る。
(撮影:スタッフ様)

海という非日常の風景の中で温かい気持ちで父を送れて。
シーンの一つ一つがまるで映画のように美しく。
本当に素晴らしい自然葬になりました。

この表現はちょっと不謹慎かもしれませんが楽しい時間でした。
さながら最後の家族旅行のようで。

感謝。

※後日、アルバムを頂きましたので写真を追加しました。スタッフ様が撮影された写真(プリントされたもの)をスキャンではなくカメラで撮っておりますので不鮮明です。ご了承ください。

簡単に無宗教の「お別れ式」のお話も

基本的にシンプルな「納棺式」のようなものでした。
当時のnote記事↓

流れ的には仏教的お葬式をベースにしたもの。
お坊さんがいらっしゃらず読経がないってだけで
簡素な仏式葬儀みたいな感じ。
焼香をして棺に収めてもらうわけですが
定番の「旅支度」もしていただけました。
あの紙のお金を持たせるとか、なんだかいいですよね。
父の思い出の写真で動画を作っていただけてそれを参列者全員で鑑賞し
父を偲んで
棺を祭壇の花で埋め尽くしました。
沢山の花に囲まれて、素敵だったなぁ。

その後、火葬場でお骨にしてもらい。
火葬場の職員さんも火葬場担当の葬儀社の方も皆さん良い方ばかりに恵まれてありがたかったです。
父の積んだ徳のおかげかもしれません。

骨壷に収まった父と自宅へと帰り
自然葬のためにお預けするまで
遺影と共にゆっくり(父がどうしても帰りたかった)自宅に居てもらいました。
仏壇は要らないと思っていましたがご挨拶に来られた方がお線香をあげられたほうがいいかなと基本的な仏具だけ購入。
今では毎朝お線香をつけるのが日課になっています。
戒名もないので位牌も作りませんでした。

何もかも、シンプルな質素なものをチョイスしたにも関わらず実際には十分すぎるくらい素敵だったなと思いました。
とても良いお式だったねとみんなで言い合う、心に残るお葬式になりました。

全散骨と分骨

最後に散骨する骨のことについて。
全てを粉骨・散骨しなくてもOKなのです。
家族の希望に沿って自由がききます。
我が家のように全部散骨することもできれば
一部を残して手元供養にしたり
同様に分骨でお墓におさめることもできます。
残す残さない自由。
亡くなった直後の葬儀と組み合わせて行う
プラスアルファ、追悼の選択肢の一つとして一考の価値がある素敵な方法だなと感じております。

終わりに

他にも余談がありますがそれは配信の方を聞いて楽しんでいただけたら幸いです。

最後に葬儀から自然葬まで大変お世話なりましたサン・ライフのスタッフの皆様。
父を送るお手伝いを何から何まで丁寧に心を込めてしてくださり本当にありがとうございました。
家族全員で感謝をしております。

サン・ライフの自然葬


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