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観る、危険ドラッグ。今敏監督「PERFECT BLUE パーフェクトブルー」


初めまして。
私は、映画や音楽が好きで、
知識や好みもカナリ偏っていますが、

好きなものを、ゆるく好き勝手に
言える場所が欲しい、
と思ったので、noteを始めてみました。

今回は、

今敏監督「PERFECT BLUE パーフェクトブルー」について。



アニメ界の鬼才 今敏(こん さとし)監督

日本のアニメ界で異色とされる今敏監督。夢や幻覚と現実が交差する作風が特徴で、緻密そしてリアリティにこだわった描写が多い。彼の作品は知名度はとても高いという訳ではないけれど、世界中のクリエイターに大きな影響を与えています。

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「PERFECT BLUE パーフェクトブルー」あらすじ 

アイドルグループを卒業した霧越未麻は、女優へと転身する。最初でこそ連続ドラマでたった一行だけのセリフの役だったが、レイプシーンを演じることで一躍有名となり、ヘアヌード写真の仕事まで舞い込むなど、アイドル時代のイメージからかけ離れた仕事をこなしていくようになる。自身のイメージと現実とのギャップに悩む未麻は、次第にアイドル時代の自分の幻覚を見るようになっていく。そして、未麻の周囲では不可解な傷害・殺人事件が続発。そこにはアイドル時代の未麻を崇拝するストーカー男の存在があった。女優の未麻を認めないストーカー男の魔の手は未麻本人にも及び、未麻自身も自らが何者なのかわからなくなっていく……。

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1998年公開!?レベル高すぎじゃないですか・・

この サイコサスペンスアニメ映画の公開は1998年。たしかに作画やインターネットの掲示板の感じは懐かしいけど、むしろ当時よりもメディアやSNSなどが発達しすぎている 今、リアリティのある問題として深く刺さる映画だと思います。初めて観たときに、本当に衝撃を与えてくれました。

まず今敏監督の特徴の、虚構と現実を区別なく扱う手法。狂った時間軸。ずっと焦燥感があって、目まぐるしくって、目が回る。

これは、もう ほぼドラッグムービーです。

本当の自分は誰?外見?それとも中身?

撮影の待ち時間に、セリフの練習として 未麻の繰り返す

「あなた、誰なの?」

が、この作品のテーマなのかもしれません。

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観る、危険ドラッグですよ・・。

「PERFECT BLUE パーフェクト ブルー」作中では、「未麻の演じるドラマ」「未麻の妄想」「現実」という3つの虚構が入り組んで、区別なく同じ強さとリアリティで描かれています。現実はもちろん、未麻にとって、ドラマも、妄想ですらもリアルで、違いなんてない、というように。

「本当の自分」なんてどこにもいなくて、周囲が「そうだ」と認識し、発見して決めつける。それと、自分の思い込み。自分って、そうして作られていく。

人の分だけリアルはあって、自分の観ているものが万人のリアル、だとは限らない。というか、違う。

私はこれが以前からの持論だったので、この映画を観たときに、パズルがガッチリはまったというか、答えを見つけた気持ちになりました。


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リアルとは、見る人がそこに発見するもの

この映画のインタビューにて、今敏監督は「リアル」について、こう語っていました。


**「写実的なこととリアルなものとは違うと思っています。写実的に描いたからといって、リアルになるとは絶対に思わない。青山二郎という骨董家、になるのかな、その人が『優れた画家も詩人も、美を描きえたことはない。美は描くものではなく、それを見た者の発見であり、創作である』
というようなことを言ってて、この美をリアルに置き換えても通じると思うんです。リアルって描きうるものじゃなくて、見る人がそこに発見するものだと思うんですね。」  **



この言葉にとても私は共感して、サイコホラーのトラウマ映画と言われてるこの作品に感動さえ覚えました。

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まとめ

今敏監督の作品は、確かにトラウマ映画だし、生活感の中にずっとある、独特な不気味さが後を引く作品です。だけどとにかく、凄いものを観てしまった!という余韻の重さと、メッセージ性、物語が進んでいくごとに引き込まれる、だけではなく、映画が終わった後、時間が経っても引き込まれ続ける。

今敏監督ならではの、独特のエッセンスが詰まったデビュー作『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』観た事ない人は、メンタルが元気いっぱいな日に、是非観て欲しい作品です。

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