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夏の昆虫【クワガタ】昆虫採集YouTuberむし岡だいきさんが解説!

子どもたちに大人気の昆虫”クワガタ”。
 
クワガタを見つけた時のドキドキは、夏にしか味わえない貴重な体験です!
 
そこで今回は、昆虫採集YouTuberむし岡だいきさんにクワガタの捕まえ方や育て方など、さまざまな事をおうかがいしました!

クワガタってどんな昆虫?

 クワガタはコウチュウ目クワガタムシ科に属する昆虫のなかまです。クワガタの多くの種類は、オスが大きなハサミ状の大顎を持っているのが特徴です。日本には40種類以上(亜種は除く)が生息しており、その種類によって生息している場所や好む環境はさまざまです。
 
 今回はみなさんの住んでいる場所の近くで比較的簡単に出会える種類のクワガタを中心にお話していきたいと思います。

クワガタの種類を知りたい!

 家の周りや、少しお出かけした先で見つけられるのは、コクワガタ、ヒラタクワガタ、ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタなどです。

1.コクワガタ

 一番身近に見られる小さなクワガタです。黒くて平べったく、オスは細く伸びた大顎が特徴です。成虫で冬を越すことができるので、春から初秋まで見つけることができます。

コクワガタのオス
コクワガタのメス

2.ノコギリクワガタ

 コクワガタに続いて身近に見られるクワガタです。最大で7cm以上にもなる大型のクワガタで、茶色い体とノコギリのように細かい歯がたくさんついた大顎が特徴です。オスの大顎の形は、体の大きさによって大きく変わります。6月から8月頃まで見ることができます。

ノコギリクワガタのオス
ノコギリクワガタのメス

3.ヒラタクワガタ

 コクワガタに似て、黒くて平べったいクワガタです。最大で7cm以上になることもあります。コクワガタと同じで、成虫で越冬することができるので、春から初秋まで見つけることができます。昼間は木のウロなどに隠れていて、見つけるのが難しいです。

ヒラタクワガタのオス
ヒラタクワガタのメス

4.ミヤマクワガタ

 特徴的な形をしているとても人気なクワガタです。大きいオスは目の後ろが大きく張り出し、また羽化したての成虫は体に金色の毛が生えています。少し標高の高い山に生息しているので、都会の近くで見つけることが少ないクワガタです。(近畿地方では平地にも生息していることも多いようです。)

ミヤマクワガタのオス
ミヤマクワガタのメス

 上記のクワガタたちの他にも、スジクワガタ、アカアシクワガタ、ネブトクワガタなども一緒に見られることがあります。

スジクワガタ
アカアシクワガタ
ネブトクワガタ

どこで行けば見つけられるの?

 ここまで紹介したクワガタたちを見つけるためには、まずはクワガタが好む環境を知ることが大切です。クワガタの成虫は広葉樹の樹液をエサにしています。しかし、樹液であればなんでもいいというわけでなく、クワガタの好む樹液を出す木は、クヌギ、コナラなどのブナ科の木、アキニレやハルニレなどニレ科の木、そしてヤナギなどです。上記の木がたくさん生えている場所に行くと、クワガタを見つけられる可能性が高くなります。
 
 今回はクワガタを見つけられる2つの場所を紹介します。
 
 まずひとつは、雑木林です。
 
 あまり山奥まで行く必要はなく、人家の近くの里山環境や、街中の自然公園などでも見つけることができます。クヌギやコナラなどを中心に、樹液の出ている木を探すと見つけることができます。

クヌギの雑木林
コナラの木

もうひとつは、河川敷です。
 
 こちらも特に山奥や上流まで行く必要はなく、都会が近い河川敷でも見つけることができます。河川敷で探すのはヤナギの木です。
川沿いには様々な木が生えていますが、その中でヤナギの木が数本まとまって生えている場所があれば、クワガタに出会える可能性が高いです。

ヤナギの枝にとまるコクワガタのオス

 どちらの場所も危険が多いので、必ず大人の人と一緒に行動しましょう。

つかまえるコツは?

 今回紹介したクワガタは、どれも夜行性です。
 
 昼間は地面や木のウロに隠れていて、暗くなると活動を始めます。そのため、明るい時間に樹液が出ている木を探しておいて、夜にその木をそっとライトで照らして探すのが一番クワガタを見つけられる方法です。ただし、夜に林を歩くのはとても危険です。夜が難しければ、朝早くの薄暗い時間帯でも見つけることができます。
 
 クワガタはとても警戒心が強く、大きな音を立てたり、明るいライトをチラつかせると、すぐに地面に落ちて逃げてしまいます。林の地面は下草が多く生えていたり、枯れ葉が積もっていたりするので、一度落ちてしまうと見つけるのがとても難しくなります。
 
 捕まえる時はその習性を利用して、むしとり網をクワガタの下にそっと構えてから、手を伸ばすと網の中にうまく落ちてくれることが多いです。

 その他のつかまえ方としては、フルーツトラップや外灯採集などがあります。
 
 フルーツトラップは、バナナなどの果物をあらかじめ腐らせておいて、それをクワガタがいそうな林の木に仕掛けるという採集方法です。樹液の出ている木を見つけられない時などに有効な採集方法です。最近では、こういったトラップを林の中に放置してしまう人が増えて問題になっています。トラップは長い間森に放置せず、採集が終わったら全て回収して持ち帰りましょう。
 
 外灯採集は、昆虫たちが集まるような外灯や自動販売機のあかりの周りを夜に探す方法です。昆虫たちはあかりに含まれる紫外線に反応して、それを目掛けて集まってきます。しかし近年では、紫外線がほとんど含まれないLEDライトを使用している場所が増えてきたので、昆虫が集まる外灯を見つけるのも難しくなってきています。

飼育方法を知りたい!

 最近はペットショップやホームセンターだけではなく、100円ショップなどでもクワガタを飼育する用品を揃えることができるようになりました。クワガタを飼育するのに必要な用品はこちらです。
 
・プラケース
・昆虫マット
・昆虫ゼリー
・転倒防止材(止まり木、枯れ葉など)
・霧吹き

  • プラケース
    様々なタイプのものがありますが、蓋がメッシュ状ではないものを選ぶほうがよいです。クワガタは乾燥に弱く、メッシュ状の蓋のプラケースではすぐにケースの中が乾燥してしまい、クワガタが死んでしまう原因になります。おすすめの商品だと、コバエシャッターやクリアスライダーというプラケースです。これらのケースは、ケース内が乾燥しにくくなっているのでクワガタ飼育に適しています。

  • 昆虫マット
    こちらも様々なタイプのものがあります。腐葉土や、フレーク、針葉樹マット、ヤシガラ、水苔など様々です。産卵などを目的にせず、観察するだけであれば、上記のどのタイプを使っても問題ありません。筆者は、ダニが湧きにくく消臭効果もある針葉樹マットを使用することが多いです。これを3〜4cmほど敷いておきましょう。

  • 昆虫ゼリー
    こちらも様々なタイプのものが販売されていますが、安価なゼリーにはクワガタが長生きする栄養が多く含まれていないものがあります。そこで筆者がおすすめしたいのはKBファームさんのプロゼリーです。クワガタが長生きしたり産卵するために必要な栄養がたくさん含まれているゼリーです。

  • 転倒防止材
    クワガタはひっくり返ってしまった際、掴まるものがなければうまく起き上がることが出来ません。ひっくり返っている間は体力を消耗してしまうので、長い時間起き上がれずにいると、死んでしまう場合もあります。ですので、木や枯れ葉などを多めにケース内に配置してあげるのがよいでしょう。

  • 霧吹き
    クワガタは乾燥にとても弱い昆虫です。ケース内が乾燥している時は軽く霧吹きをしてあげて、床材を湿らせてあげましょう。ただしあまり加水しすぎるとケース内が不潔になりダニなどが発生しやすくなりますので、湿らせすぎには注意しましょう。

 上記のものを準備すれば、ほとんどのクワガタを飼育することが可能です。
 
 クワガタは喧嘩をしやすい昆虫のため、ひとつのケースにたくさんのクワガタを入れて飼うと、弱いものはすぐに弱って死んでしまいます。基本的には1匹ずつケースに入れてあげる方が長生きします。複数で飼育したい時は、十分に広いケースを用意してください。
 
 またメスをつかまえてきて産卵させたい時は、メスが産卵する朽木を入れてあげる必要があります。クワガタによって好みの朽木の固さやマットの種類などがあるので、産卵に挑戦する際は調べてみましょう。


クワガタの豆知識

ミヤマクワガタは東京でもとれる?

今日おはなししたクワガタの中でも、みなさんが特に見つけてみたいクワガタはミヤマクワガタではないでしょうか? 最初にも書いたように、ミヤマクワガタは他のクワガタとは違い、少しだけ標高が高い山に生息しています。そのため、都会の近くの公園や河川敷で見つけられることは滅多にありません。しかし東京都にもミヤマクワガタは生息しています。慣れてくると地図アプリなどを眺めるだけで、ミヤマクワガタが生息していそうな場所などの手がかりをつかむことが出来ますので、色々と注意深く眺めて見ましょう。

越冬すると何年生きる?

夏が終わると死んでしまうというイメージがあるクワガタですが、実は成虫で冬を越して何年も生きるクワガタもいます。コクワガタ、ヒラタクワガタ、オオクワガタなどのなかまは成虫で冬を越すことが可能です。うまく飼育すれば、成虫で3年以上生きるとも言われています。飼育しているクワガタを越冬させたい時は、秋になって気温が下がるときに昆虫マットを少し厚く敷いてあげて、しっかりと霧吹きをして床材を湿らせてあげましょう。越冬中は床材に潜って表面には出てこなくなるので、掘り起こしたりするのはやめましょう。
うまく越冬ができていれば、4月頃に活動を始めて表面に出てくるので、見逃さないようにしてゼリーを与えてあげましょう。
 
それに対して、ノコギリクワガタやミヤマクワガタは成虫で冬を越えることができません。
正確には、夏の終わりに蛹から羽化して成虫になったとき、そのまま朽木や土の中で一度だけ冬を越えることができるのですが、一度活動を始めてしまうと越冬することができなくなります。
 
どちらのタイプのクワガタも大切に育ててあげましょう。

【著者プロフィール】
昆虫採集YouTuber 。チャンネル登録18.5万人 、一番好きな昆虫はコロギス。


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