読書が逃げ道だったころ

趣味は読書です。

そう言わなくなったのはいつ頃だったか。おそらく高3、スマートフォンが世の中に普及し、誰もが携帯ではなくスマホを持つようになったころだとおもう。

それまでは本を読むこと、漫画を読むことが最大の娯楽だった。土曜日は図書館に行き上限である5冊を吟味して借り、本で重たくなった鞄を引きずりまた本屋とBOOKOFFをハシゴして家に帰った。そして夜通し借りてきた本達のページをめくる。
これ以上に幸せなことはなかった。

読書にのめり込むようになったのは小学5年生。母は教育熱心(大変感謝しているが)で、家に帰ってからはずっと勉強させられていた。嫌で嫌で仕方がなかったので、勉強するふりをして本を読んでいた。
大好きだったのは「ダレン・シャン」のシリーズと「青い鳥文庫」である。

「ダレン・シャン」の主人公が家族と離れて生きることを決意し旅立つシーンでは、読んでいる私まで心細くなり台所でお母さんが料理をしている姿をみて安心して涙を流した記憶がある。ハラハラドキドキしながら読み進めた「ダレン・シャン」シリーズは間違いなく私を読書好きにさせた。

「青い鳥文庫」は「パスワードはひみつ」「黒魔女さんが通る」「泣いちゃいそうだよ」「若おかみは小学生」などなどあげたしたらキリがないほど読み漁った。

なかでも好きだったのは倉橋燿子さんの作品たちだ。ほとんどの作品を読んだと思う。
その中でも特に好きなのは「青い天使」である。当時辛い状況にいた私はこの本の主人公チナにずいぶん救われた。正直内容はあまり覚えていないが、嫌なことがあったり逃げたくなったら必ずこの本を読んでいた。そうして自分を保っていたと思う。

それ以降悩みや辛いこと、嫌なことがあると同じような悩みをもつ本の登場人物たちに救いを求めていくようになる。今はもうできないが、その当時の私はタイトルと表紙と1ページ目で自分を助けてくれる本を選ぶことができた。表紙や持った感じも大事な判断要素だったのでハードカバーの本が好きだった。(この名残で今もハードカバー派である)

そんな読書時代もスマホで活字欲がなんとなく満たされてしまうことと、バイトやサークルなどの楽しいことが増えたこともありここでいったん幕を閉じる。

最近になり少しずつ読書の機会が増えたが、あの頃のように熱中し興奮し読むことは出来なくなってしまった。

しかしあの頃読んだ本達は今の私を作ってくれた重要な要素である。忘れ去ってしまう前にこうして書き残しておきたいものである。

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