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「きみのお金は誰のため」を読み終えたあとに”ぼくたち”が学ぶ未来
「きみのお金は誰のため」を読み終わりました。知り合いのマネー講座講師からぜひ読んでほしい、感想を聞かせてほしいと言われた1冊。やや前のめりに推薦されてびっくりしましたが、たしかに自分の子どもにもぜひ読んでほしい1冊でした。
あらすじ
本の主人公は3人。中学生でトンカツ屋の息子である「優斗」、投資銀行ではたらく女性の「七海」、そして屋敷に住む錬金術師とも呼ばれる「ボス」
ボスが優斗、七海とともに、3つの謎、
お金自体には価値がない
お金で解決できる問題はない
みんなでお金を貯めても意味がない
を解き明かしていく。格差の謎、社会の謎、そして最後の謎である「ぼくたちはひとりじゃない」まで考えていく。
帯にあるように
3つの謎を解いたとき、世界の見え方が変わった。
優斗の、そして読者である私の、世界の見え方を変える本でした。
特に気になったところを書きます。
みんなでお金を貯めても意味がない
ボスは、個人でお金をためても、社会全体では意味がないと優斗たちに伝えます。
「お金を増やすこと自体を目的にすると、ただの奪い合いになる。共有することはでけへん。僕らが確実に共有するのは未来なんや」
誰のために働くのか、を考えて日々の行動を変えることで、未来を作ることができる。未来を共有する。選択していけるということをボスは話します。
お金だけで解決できる関係性とは違う。
普段は意識されることなく、ないがしろにされがちな、価値を交換し、未来の共有する”ぼくたち”の範囲。
この”ぼくたち”を広げると、社会の感じ方が変わる。優斗くんが年末に買ってきたくれてどら焼きを、二百円で手に入れたと感じるか、和菓子屋のおばあちゃんが作ってくれたと感じるのかの違いや。
ボスは、災害時だと広がっていくこの”ぼくたちの”範囲が広がりやすいとも。災害時にはお金の値段よりも、実際に人々が生み出している価値に目がいきやすいのかもしれません。
公務員としてどう読むか
”ぼくたち”の範囲の話は地域経済や地域通貨の考え方に繋がっていくなぁと感じました。
お金の奴隷になることではなく、お金の交換で本当に生み出されている価値を地域(ぼくたち)の中で還流させていくこと。
その価値を自分たちが気づき、支え合うこと。
その感覚は地域活性化に不可欠だし、未来を作る不可欠な要素だなぁと。
再配分の話もありました。税金としていただいた水(お金)を、どの場所に雨として降らせて、乾いた泉に水を貯めていくのか。
そういう全体像を持ちながら、補助金をはじめとする施策も打っていかないといけない。
また、公務員自身もその働きをどこで発揮できるか、価値を提供していくかも考えなければならない。
お金のテーマを通じて、価値提供の意味や人材育成まで思いを巡らせることになりました。
小説としても面白い
そして、ビジネス本とか教養本でもありながら、小説としても面白かったです。不思議な3人の関係性、それぞれの謎はボスにとって、どういう意味があったのか。
プロローグからエピローグまでに至る伏線回収もよく練られており、読後感もよかったです。
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