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カフカ『審判』についての一考察

 お疲れ様です。つい昨日、授業課題だった、フランツ・カフカ『審判(=訴訟)』の読書レポートを書き終え、何とか期限内に提出することができました。今回は、まだ記憶の新しいうちに読書体験記的なものを残しておこうということで、フランツ・カフカ『審判』について、書いてみようと思います。
 
 はじめにカフカのちょっとした紹介、『審判』について、まとめ、という順で書いていきます。


カフカについて

 フランツ・カフカ(1883 - 1924年)は、現在のチェコ出身の小説家で、20世紀を代表する作家とみなされています。中編『変身』はおそらく一番有名なカフカの作品でしょう。しかし、生前の彼は鳴かず飛ばず、特に注目はされないまま亡くなりました。
 彼の死後以降、残された遺稿(カフカは焼却を希望)を編集したマックス・ブロートが、長編『審判』、『城』などを次々と出版しました。風向きが大きく変わった、特に戦後以降、時代を先取りしていた文学として、大きく注目されるようになります。今回は『審判』を取り上げますが、マックス・ブロートがカフカの遺言に逆らった結果読めているので、彼に感謝しなければなりませんね。

『審判』について

 ここからは、『審判』について、本の紹介と読書記を書いていきます。まず、『審判』は前述のとおり、マックス・ブロートの編集によって出版されました。しかし、彼の編集はどうも怪しい(特に章の順序)、という批評家たちの指摘により、ブロートの死後、章立てを新たに構成した批評版『審判』が新たに編集されて出版されました。なので、現在カフカの『審判』はマックス・ブロート版と批評版の2つがあります。
 自分はマックス・ブロート版を読みましたが、作品として、とてもおもしろかったです。ここでは『審判』のあらすじや批評(スペースも実力もないが)は書かず、感想に終始したいと思います。これを読んだ人と感想を共有できれば本望です。
 不条理小説『審判』は、主人公ヨーゼフ・Kの訴訟をめぐる、まさに不条理を描きます。読んでいると、多くの人は共感してもらえると思いますが、どこか読みづらさを感じます。その理由を考えると、変な世界があたかもリアルに描かれているからだ、と思えました。変な世界とはつまり、ヨーゼフ・Kの視点で、しかし三人称で、写実的な描写がなされていることからくる、妙にリアルな世界です。これは現象学的な描写ということができるでしょうか?主観的な視点を客観的に描くという点で。

まとめ

 ここまで、読書感想記を書いてみました。総じていえると思うのは、『審判』はスルメ小説だということです。一回読んでも全然いいと思えない。けれど、レポートを書くために引用できる部分を探したり、いくらか読み直していくと、初めに読んだときには全く気付かなかったことに出会える点で、何回か噛むと味が強くなっていくスルメのように思えます。いずれこれをもっと充実させたブログを書ければと思っています。

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