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柳永 「昼夜楽」

思えば あの部屋であなたと初めて会ったとき

あのままずっと いっしょにいればよかったのです

あのひとときの ひそやかな歓びが

別れの悲しみに 変わってしまうなんて

今やもう 春も暮れゆくころ

目に映るのは みだれ散る花びらと とび交う綿毛

まさかこの 美しい景色までも

あなたとともに 去ってゆくのでしょうか


この寂しさを だれに訴えましょう

わたしに言ってくれたことは すべて嘘だったのですね

こんなに諦められないものなら

あのとき引き留めておけばよかった

あなたは品があって顔立ちもよいものですから

ひとを虜にするのです

一日忘れていようと努めても

やっぱり千遍も 眉をひそめてしまうのです


洞房記得初相遇

便只合 長相聚

何期小會幽歡

變作離情別緒

況值闌珊春色暮

對滿目 亂花狂絮

直恐好風光

盡隨伊歸去


一場寂寞憑誰訴

算前言 總輕負

早知恁地難拚

悔不當時留住

其奈風流端正外

更別有 繋人心處

一日不思量

也攢眉千度


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