見出し画像

周邦彦 「瑞龍吟」

ここはしょうだい通り

梅のこずえには もう色褪せた花

桃の樹には いま咲きそめた花

路地はひっそりとして

ただ燕が巣をつくろうと

いつもの場所に戻ってきています


しみじみと じっとここに佇むわたし

思い出すのは うぶなあの人のこと

君はあのとき ろう門口かどぐちから恥ずかしげに顔をのぞかせ

夜明けから うっすらひたいに黄色い飾り化粧をして

袖をかざして風をよけては

鈴を鳴らすような声で笑っていました


わたしはこの街を再び訪れ

あちらへこちらへと

当時のじょたちを尋ねてみましたが

あのの評判だけが 今もなお残っているばかり

そのころ作った詩を ふと思い出しました

あなたのいない今 いったい誰がわたしと一緒に

花園で酒を酌み交わし 東城を散策してくれるでしょう

すべては一羽のかりと共に去ってしまった

春を尋ね歩けば 目に映るものすべてが

別れの悲しみを誘い

金の糸を垂らす街路樹の柳も 別れを惜しむよう

暮れに馬をかえせば 細やかな雨が池に降りしきる

腸を断つほどの苦しみがわたしを襲う

すだれ一面に 柳のわたが散りかかっている



章臺路

還見褪粉梅梢

試花桃樹

愔愔坊陌人家

定巢燕子

歸來舊處


黯凝佇

因念箇人痴小

乍窺門戶

侵晨淺約宮黃

障風映袖

盈盈笑語


前度劉郎重到

訪鄰尋里

同時歌舞

惟有舊家秋娘

聲價如故

吟箋賦筆

猶記燕臺句

知誰伴 名園露飲

東城閒步

事與孤鴻去

探春盡是

傷離意緒

官柳低金縷

歸騎晚 纖纖池塘飛雨

斷腸院落

一簾風絮

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?