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李清照 「永遇楽」

ゆうは 溶かしたきんの眩しさ

夕雲ゆうぐもは たまの輪の輝き

あの人は 何処いずこ

柳を染めるもやは いよいよ濃く

ばいの笛の音には 怨みがこもる

春の情緒は 如何いかばかり

元宵げんしょうき日

穏やかな晴れを迎える

けれどもすぐに 嵐がやっては来まいか

立派な車馬が 迎えに来ても

宴会はもう お断りです


中洲の地が賑わっていたころは

ねやぐらしにも ゆとりがあり

この元宵では 大いにはしゃいだ

カワセミの羽の帽子や

金糸の髪飾りなど

めかし込んでは オシャレを競った

今やもう やつれ果て

髪は乱れて 白くなり

夜に出かけるのさえ 気が引ける

それよりも すだれの下で

人の談笑を聞いているほうがましです



落日鎔金
暮雲合璧
人在何處
染柳煙濃
吹梅笛怨
春意知幾許
元宵佳節
融和天氣
次第豈無風雨
來相召 香車寶馬
謝他酒朋詩侶

中州盛日
閨門多暇
記得偏重三五
鋪翠冠兒
撚金雪柳
簇帶爭濟楚
如今憔悴
風鬟霜鬢
怕見夜間出去
不如向 簾兒底下
聽人笑語

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