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郁達夫 『楊梅酒』 (6)
二杯の楊梅酒が運ばれてくると、彼は眼をとじ、後ろの板壁に背をあずけ、片方の手でハンカチを持ち、ていねいに額の大粒の汗を拭いながら、もう片方の手で一つまた一つと楊梅を口に放り込んだ。そうやって頬ばりながら、後ろにもたれながら、眼はやはりとじたままで、彼はまた唸るように話し始めた。
「うーん、ええっとねえ、住む場所なんだけどねえ、湖のほとりの新式の住宅なんだ。ガラス、そう、ガラスのさあ、おれの工場のガラスを使って、ステンドグラスの窓をとりつけるんだ。一万、一万元で」
このようにひとしきり捲し立てると、今度はひとしきり楊梅を頬ばり、彼はまた急にグラスを持ち上げて、眼をみひらいて私にこう言った。
「おい、学友よ、わが友よ、もういっちょカンパイだ!」
仕方がないので、再度グラスを持ち上げて半分ほど飲んだが、彼のその背の高いグラスの楊梅酒に目をやると、すでに楊梅も酒もなくなっていた。酒を飲み終わると、また眼をとじ、後ろの板壁にもたれたまま、店員に向かって声高に、
「おい! もう二杯もってこい!」
店員はやはり山盛りの楊梅の酒を二杯も持ってきて、私たちの前に置いた。彼はまた先ほどと同様に眼をとじ、板壁にもたれ、楊梅をまた一つ、また一つと口に入れた。私もこの頃にはほろ酔い気味になり、何も気にせず、ただ黙ってテーブルの上に両手をついて頭を支えながら居眠りしていたが、まだ完全に熟睡しない耳のそばでは、蜜蜂のぶんぶん飛ぶような彼の唸る声がしていた。
「ああユカイ、ユカイじゃないか、一万元! 湖畔の住宅! ふるい学友が、友が、遠方から来て、酌み交わす酒、酒、酒よ!」
〈原文〉
两杯新的杨梅烧酒来后,他紧闭着眼,背靠着后面的板壁,一只手拿着手帕,一次一次地揩拭面部的汗珠,一只手尽是一个一个的拿着杨梅在往嘴里送。嚼着靠着,眼睛闭着,他一面还尽在哼哼的说着:
“嗳,嗳,造一间住宅,在湖滨造一间新式的住宅。玻璃,玻璃么,用本厂的玻璃,要斯断格拉斯。一万块钱,一万块大洋。”
这样的哼了一阵,吃杨梅吃了一阵了,他又忽而把酒杯举起,睁开眼叫我说:
“喂,老同学,朋友,再干一杯!”
我没有法子,所以只好又举起杯来和他干了一半,但看看他的那杯高玻璃杯的杨梅烧酒,却是杨梅与酒都已吃完了。喝完酒后,一面又闭上眼睛,向后面的板壁靠着,一面他又高叫着堂倌说:
“堂倌! 再来两杯!”
堂倌果然又拿了两杯盛得满满的杨梅与酒来,摆在我们的面前。他又同从前一样的闭上眼睛,靠着板壁,再一个杨梅、一个杨梅地往嘴里送。我这时候也有点喝得醺醺地醉了,所以什么也不去管它,只是沉默着在桌上将两手叉住了头打瞌睡,但是在还没有完全睡熟的耳旁,只听见同蜜蜂叫似的他在哼着说:
“啊,真痛快,痛快,一万块钱! 一所湖滨的住宅! 一个老同学,一位朋友,从远地方来,喝酒,喝酒,喝酒!”
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