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秦観  「江城子」

まち西はずれの柳が 柔らかな春を揶揄からかうように

ゆらゆらと揺れる そのさまに

別れの悲しみが思い出され

つい涙が溢れてしまいました

今も覚えています あなたはお別れの舟を

ここにとどめてくださいましたね

緑の野原 朱塗りの橋は あの日のままなのに

あなたの姿はもうなくて 川だけが虚しく流れています


うるわしき春は 若者のためにとどまってくれぬのに

この果てのない別れのつらさは 

いつになったらむのでしょうか

柳絮わたが舞い 花びらが散るとき 

わたしは高台に登ります

わたしの涙が 春の川と化すならば

きっと流れが尽きることはないでしょう

この胸の愁いがある限り


西城楊柳弄春柔
動離憂
淚難收
猶記多情曾為系歸舟
碧野朱橋當日事
人不見
水空流

韶華不為少年留
恨悠悠
幾時休
飛絮落花時候一登樓
便作春江都是淚
流不盡
許多愁

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