【新入荷詩集】上手宰『香る日』は、本当に上手さんの最高傑作か?
よこやま書店に、上手宰(かみて・おさむ)さんの『香る日』が入荷しましたので、お知らせします。
上手宰さんの詩集はとても人気で、『二の舞』は当店売れ行きNo.1です。同じく上手さんの『しおり紐のしまい方』(三好達治賞)も、素晴らしいと評判です。
しかしながらこの2冊以上に、「こちらの方が、上手宰さんの現時点での最高傑作では?」と噂されているのが、今回新入荷いたしました『香る日』です。
上手さんによりますと、「4つの賞にノミネートされて全部落ちた」とのこと(笑)。わたくしのリサーチ(ググり)によりますと、小野十三郎賞、小熊秀雄賞、現代詩人賞の候補であったことはわかりましたが、あと1つはわかりませんでした。(2023.12.13追記:上手さんにお聞きしたところ、あと1つは「日本詩人クラブ賞」だそうです。)
ん~~!、なんとも惜しい!
ドラゴンボールで言えば、悟空ではなくベジータの立ち位置、というところでしょうか。何が「一歩及ばず」だったのか、私のような者には知る由もありません(私はヤムチャだからね!)。
しかし一つ感じるとすれば、この『香る日』は、三好達治賞『しおり紐のしまい方』・大人気『二の舞』よりも、前半部分が抽象的・哲学的な印象で、ちょっと難しい感じがします。
上手さんに許可を頂いておりますので、巻頭の序詩「裏地」の全文を掲載させていただきました。
この「裏地」は比較的意味がわかりやすいですが(そんなこと私が言うのもおこがましいですが汗)、このあと「フーガの技法」「香る日」と、だんだん哲学的で難しくなっていきます。
…でも私は、この「わからなさ」がとても魅力的だと思います。
「頭で理解するのは難しいけど、何か凄いことが書かれている、だから一生かかってもわかりたい」という感覚です。自分よりはるかに凄い方の作品を読んでいるのですからわからなくて当たり前だし、「凄いことが書かれている」という“感覚”が伝わってくること自体、すごくないですか?…そういう、遠くから憧れの人を眺めるような抗いがたい魅力があり、確かにこれが現時点での上手さんの最高傑作だと言われる理由が、なんとなくわかる気がします。
この表題作「香る日」をはじめ、上手さんのホームページでは「舞台裏の椅子」「静かに置かれた時計」など、たくさんの名作が公開されています。ぜひ、上手さんのホームページを覗いてみてください。
詩を作る方なら、勉強になることがたくさんあると思います。
もちろん、読まれるだけの方も、存分にお楽しみいただけます。
http://kamitelyric.web.fc2.com/kaoruhiA.html
この『香る日』、表紙の写真は、草野信子さんの撮影です!
▼詩集としての“質感”を、ぜひご確認ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?