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【新入荷】京大短歌会『京大短歌29号』(前号評:青松輝)―詩作勢にもおすすめ!

 当店にて、京大短歌会 会員誌『京大短歌29号』を取り扱わせていただけることになりました♪ 日頃は詩集ばかり読んでいる私ですが、空前の「短歌ブーム」ということもあって興味津々で拝読したところ、なるほど、これは面白い! 短歌をお作りになる方はもちろん、詩作がメインの方にも刺激&発見がいっぱいの内容となっております。


『京大短歌29号』目次

▶巻頭エッセイ/津島ひたち(p.2)

 エッセイ後半部分を、よこやま書店の販売ページにて読むことができます。本当は前半から内容が続いているので、買って頂いて全部読んでほしいです(笑)。とても素敵なエッセイです。

▶会員連作(p.3~p.78)

 38名の15首連作を収録。本当にどの方の連作もみずみずしくて素晴らしい! 一人一人の個性・世界観が楽しいです(次回、レビューします)。
 素敵だなぁ~、と思った中から一つ、豆川はつみさんの作品をご紹介します。

造花だと思って触れたら生きていたように消したいアプリふるえる

豆川はつみ 連作「gateway」より
『京大短歌29号』

▶OP連作(p.79~p.110)

 京大短歌会出身者16名の15首連作を収録。著名な歌人を多数輩出している京大短歌会ならではの豪華ラインナップです(寄稿者をよこやま書店販売ページにてご確認いただけます)。
 素晴らしくて圧倒された、大森静佳さんの作品をご紹介します。

つまさきに九月、十月過ぎながらボナールの妻がまた服を脱ぐ

大森静佳作 連作「オクターブ」より
『京大短歌29号』

▶評論(p.111~p.118)

  第61回角川短歌賞を受賞された鈴木加成太さんの歌集『うすがみの銀河』(2022年)と、第4回笹井宏之賞神野紗希賞を受賞された安田茜さんの歌集『結晶質』(2023年)の評が読めます。

▶前号評/青松輝(p.119~p.124)

 第一歌集『4』で話題の新鋭歌人、人気YouTuber“ベテランち”としてもおなじみの、青松輝(あおまつ あきら)さんによる前号評です。
 “ベテランち”とは別の顔の青松さん。必見です!!

▶企画(京大短歌会夏合宿の記録・MIMIC歌会・ぜろごつみ)

●京大短歌会夏合宿の記録(p.125~p.135)
 4年ぶりに対面で行われた夏合宿のレポート。大学生の皆さんの輝きが眩しい…! というか、私たち(40代)が大学生だった頃には、このような学生生活がある意味当たり前だったのですが、コロナ禍で4年ぶりと聞いて、いろいろと思うところがありました(あ、私は京大生ではありませんよ!)。

●MIMIC歌会(p.136~p.145)

MIMIC歌会とは、その名の通り、他人の短歌をMIMICする歌会である。参加者には、自分が誰をMIMICし、自分が誰にMIMICされるかが伝えられており、歌会開始までに指定された人をMIMICした詠草を三首提出してもらった。その後、詠草一覧を見て、それぞれの詠草を「誰が」「誰を」MIMICしたものであるかを予想してもらった。

MIMIC歌会 説明
『京大短歌29号』

 これ、面白い企画ですね! 誰かをMIMIC(真似)する・されるって、その人の作品にある「クセ」を暴くことでもあるし、自分の「クセ」を自覚することでもあるし、自分がやるとなったら、なかなかスリリングですね(笑)。参加者による予想一覧が、当たったり外れたり、これまた楽しいです。

●ぜろごつみ(p.146~p.152)

ぜろごつみとは、いちごつみから派生した短歌遊びです。
「自分より前の人が詠んだ歌に詠まれている自立語を全て使わずに新たな一首を作る」というルールで進行していきます。
(中略)
会員有志二十三名による自立語の奪い合いの様子をお楽しみください。

ぜろごつみ 説明
『京大短歌29号』

前半
容赦なく自分が使いたい言葉を使っていく会員たちの様子に注目です。

ぜろごつみ 説明
『京大短歌29号』

後半
使える言葉が少なくなった参加者が四苦八苦する様子に注目です。

ぜろごつみ 説明
『京大短歌29号』

いやぁ~~、この企画はすごかった(笑)!
まずは一首目↓

セメントに胸までつかる じゃあだれが世界を救うのかって話だ

布野割歩
ぜろごつみ『京大短歌29号』

「セメント・胸・つかる・じゃあ・だれ・世界・救う・話」が自立語ですから、次の人はこれらの単語を使ってはいけないということですね。「セメント」というあまり使わなそうな単語を入れたり、「救うのかって」の“のかって”の部分(すべて付属語)で文字数を消費したり、出だしとしては良心的(笑)。

そして、二首目↓

愛された場所はもう夏の片われ 君は何処かで旅をしていて

西崎柚卯
ぜろごつみ『京大短歌29号』

「愛する・場所・もう・夏・片われ・君・何処・旅・する」が自立語です(合ってるかな?)。…「愛する」「場所」「夏」「君」が使えないって、すでに苦しくないですか?(笑) さて、その後の展開は本誌でご確認ください。

▶寄稿者紹介

 連作掲載順に、現役会員とOPが一覧となっています。自己紹介、X(旧Twitter)・インスタアカウントなど。

▶編集後記/ナカジマシン

 次回の投稿にて、レビューさせていただこうと思います。


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 『京大短歌29号』は、青松輝さんが前号評をお書きになっていることもあり、注目度が高いようです。

 よこやま書店で700円(+送料180円)で購入できるほか、京大短歌様直営のBOOTHでもご購入できますので、ご興味のある方はお早めにお買い求めください♪

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