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ホラクラシー経営上重要な「選択している」という感覚について。

ホラクラシー経営の続きです。今回は、前回あった働き方の同意という点で、きっかけになった社員の話をしておこうと思います。

デザイナー 増井瞳の入社

現在、デザイナーでリーダー的ポジションにいる社員に増井瞳という社員がいます。ホラクラシーよろしく、パワーコンテンツジャパン株式会社には役職がありません。ですから、基本的に上下関係というのがないわけです。しかし、この点パワーコンテンツジャパン株式会社のホラクラシー的考え方が、上下の権力関係はないけれど、入社前後と年齢の先輩後輩関係はある、という考えが浸透しています

上から押し付ける権力は誰も持っていません。私(社長)以外は。だから、指示命令は私以外には基本的にないわけです。ちなみに、完全体のホラクラシーでは、経営者の権力も押さえるべきという考え方もあるようですが、私は基本的にこれには反対です。いくつか理由があるのですが、例えば危険な状況のときなどは、完全なる指示命令権があった方が会社経営としては正常だと私は考えているからです

会社にはいろいろな危機があります。ライバル企業によって業績がダウンする、社内で刑事事件が起こる、情報漏えいが起きてしまう、資金繰りに苦しむ。こんな会社の危機は、ホラクラシー的に自然解決するのを待っているわけにはいきません。こういうときは、経営者が責任を持って指示命令権を発揮し、統括するべき。これが私のホラクラシー的考え。完全体のホラクラシーは、危機に弱い。そう考えてます。

だからといって、常に指示命令権を使っているわけじゃありません。ほとんど指示命令なんか、私はしません。それぞれの社員が考えて自主的に動いているので、私が指示するなんて年に数回あるかどうか?(小さな業務のお願いは別)そんな感じです。

権力を持てば、確かに勘違いして組織がおかしくなることもあるでしょう。でも、それは権力を持つ人の問題です。権力をきちんと使いこなす器があれば、権力があること自体は問題ないですし、経営者が権力をゼロにしてしまうことは、ある種責任の放棄だと私は考えます。小さな会社の場合は、経営者がひとりで持てば十分。これが現時点での結論です。

さて、その増井瞳の入社ですが、現在は士業マーケティングのわかる貴重なデザイナーとして活躍してくれています。しかし、もともとは彼女は「事務職」として採用されたのです。2013年頃、事務職のひとりの女性が退職したので、それに伴う補充採用みたいなかたちでした。

イラストレーターとフォトショップが少し使える。そういう話を入社時に聞いていて、もしチラシとかの修正ができたらいいかもくらいに考えていたのですが、良い方向で変化がありました。

選んでいる、という感覚

「ちょっと、チラシの修正とかやってみる?」彼女に対するそんな問いかけから始まったわけですが、実際にやってみるとそつなく修正作業ができる。じゃあ、「もう少しデザインの仕事って、やってみようと思う?」と聞けば、やってみたいと言う。そこで、親しお客から無料でデザイン案件を取ってみることにしました。名刺、チラシ、そしてロゴ。ロゴは特にデザイン初心者にはなかなかハードルの高いものですが、彼女は自分で調べて努力したり、あるいは私に相談しつつ、ロゴをつくりあげ、お客様に納品しました。

すると、初めてつくった彼女のロゴマークは、見事にお客様に採用されます。しかも、実は無料案件と聞いていたので、心配になって別のデザイナー(本職)にも依頼していたそうです。その結果、プロのデザイナーの中から、増井のつくったロゴが選ばれたのでした

その後、彼女はWebサイトの制作も手がけるようになります。WordPressを駆使し、わからないことはGoogle先生に聞き(私がPHPとかまではわからないため)、いまでは立派にプロのデザイナーになるまで成長しました。

彼女がデザイナーと呼ばれることに抵抗がなくなったのは、おそらくデザイン業務を開始して1年くらい経った頃でしょうか。振り返ってどう?と聞くと

「自分の気づかなかった才能に気づかせてくださって、ありがとうございます」

みたいなことを言われたんです。本人が覚えているかどうかわかりませんけど。ここで重要なのは、私は一度も「デザインをやれ」と言ってないことです。機会はつくりました。やってみる?どう思う?そういうきっかけは確かにつくっていますし、無料案件も私が取ってきて、そのデザインができる環境は私がつくりました。

でも、デザインをやれとは一言も言っていない。これは、勝手にやったとかそういう話ではなくて、人は自分が選んだことには責任を持つ、ということなんです。よく、やらされているうちは一流ではないなんて言葉がありますが、確かにそのとおり。でも、業務命令ばかりの企業の中で、やりたいことができるなんて、そうはないんです。

だったら、本人がやりたいことを機会をつくる。そして、本人がやりたいと言う理由をつくる(給料を上げるとかでも、何でも良いのですが本人の動機につながるものが良いです)。だから、小さな会社の経営者はコミュニケーション能力やコーチング能力を高めていく必要があります

そういうスキルに頼るのは、システムや仕組みではない。と言う意見もあるかもしれませんが、正直そのくらいの器や力量がなければ、社員は話を聞きません。単純に、無能な上司の命令なんて聞きたくないでしょ?ってこと。だから、パワーコンテンツジャパン株式会社でいうと私になるのですが、権限を持った経営者やマネージャーは死ぬほど努力する必要があると私は考えてます。

入社時の働き方の同意を取る、というのも彼女が入社時から始めたことですが、当時はまだ文章化しておらず、長い面接の中で説明していました。増井はパワーコンテンツジャパン株式会社にいてもらわなければならない存在になりましたし、「やりたい」「選んでいる」という感覚が重要だということを気づかせてくれたのは、やはり増井瞳の存在が大きいと言えます。

新・ホラクラシー組織解説講座

今後も私たちのホラクラシー的組織論の記事は執筆していきますが、その全容が待てないという人は、こちらの講座をご覧ください。パワーコンテンツジャパン株式会社の組織論のすべてが詰まってますので。



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