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コンセプト経営について

"コンセプト経営"という言葉が確立されているわけではありません。これはアメリカのビジネスに傾倒した私が勝手に創った言葉です。"経営コンセプト"ではなく、"コンセプト経営"。ホラクラシーとは関係なさそうで、実はとても関係ある考え方です。

アメリカ視察で感じた"コンセプト"

遡ること5年か6年。2013年にロサンゼルスとラスベガスに行く機会がありました。機会がありましたというか、私が友人のコンサルタントと企画した海外企業視察。アジアはともかくアメリカは行ったこともなく、友人のコンサルタントに任せっぱなしの1週間でしたが、そこで得たものはとても大きかったんです。

一言で言うと、アメリカの企業は英語がロクにわからない私でも、「わかる」んです

patagonia、ザッポスなど様々な企業を直接見てきたのですが、例えばお店に入らなくてもそのお店が想像できる。わかるんです。一番わかりやすかったのは「True Food kitchen」。

お店の名前からもわかるように、「True Food」つまり本物の食事。添加物もなにもない、あくまでオーガニックな自然食品。そういうものだけが食べられるお店なわけです。

当時はハンバーガーを食べたのですが、カレーとかパスタとかドリンク類なんかも、和洋中問わずオーガニックなものなら何でもある。何なら定員もオーガニックコットンのシャツとかを来ててナチュラルのもの。

メニューも大して読めないし、定員と会話ができる語学を持っているわけでもない。でも、「わかる」んです。これが凄いなぁと当時感じました。

日本の企業がわかりにくい理由

日本の企業と比べるとよくわかります。決して批判するつもりはなく、素晴らしいスーパーだと思うのですが、例えばスーパーマーケット成城石井。スーパーマーケットと書いてあればまだわかりますが、実際の店舗で見えるのは「成城石井」の文字のみ(※スーパーマーケットは英語表記)。

成城石井のもともとのコンセプトは、「世界中の食材を世界の街角の価格で。」だから、輸入された商品も多いわけです。これが、お店の中に入らないとわからないんですよね。だから、成城石井のことを「ただのスーパー」だと思っている人も多く、個人的には少し損をしているのではないかなぁと思うわけです。

で、これはアメリカが優れているとか日本企業が劣っているとかそういう話じゃなくて、結論を言うとこんな感じです。

・アメリカ…コンセプトから始める
・日本…業種から始める

日本で会社をつくるとき、「定款」というものをつくるでしょう。その時に「事業目的」というものを決めなければなりません。建設業とか宅建業とか、IT業とか何でもいいのですが、日本の企業はこの業種で起業します。だから、例えば印刷業で始めれば、それが本業。そのほかが副業という考え方になってしまうわけです

そこから社名を考えたりするわけで、例えば社長の名前+業種みたいな付け方も非常に多かった(松下電器産業とか)。業種というのはなかなかやっかいな考え方であって、日本ではなかなか受け入れられない面があります。

例えば、ソニーがエンタメ業界に入ってきたり、保険や不動産に入ると猛烈に叩かれます。電化製品はどうしたのだと。ソニーは現在、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」を存在意義として掲げているようですが、保険もクリエイティビティかもしれないし、不動産も同じ。でも、顧客はかつてのメーカーとしての「業種」しか見ていないから、こういうことが起こります。おそらく、ソニーは電化製品は単なるひとつの手段であって、伝えたいことは別にあるんじゃないか。私はそう考えてます。

本業と副業という分け方の悲劇

企業をコンセプトで行う。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、これが私は素晴らしい経営の考え方であって、ホラクラシー的だと思ってます。例えば、さきほど印刷業という話をしましたが、印刷業は基本的に斜陽産業です。印刷代は死ぬほど安くなっているし、競合も多い。

そうすると、印刷業以外のことをしなければならなくなります。ウェブ制作とか始めようもんなら、「あの印刷会社は印刷で食えなくなった」みたいなことを言われます。「副業を始めた」と。

でも、この印刷会社が印刷会社でなく、「デザイン」がコンセプトだったらどうでしょう。それなら、印刷だけでなく、Webもデザインだし、ノベルティ的な仕事だって入ってくる。だから、コンセプトで企業活動を行うことは、企業の活動範囲を一貫性を持って広げることができる。そういうことなんです。

これを「コンセプト経営」と呼ぶことにしました。まずは自分の会社で実践。パワーコンテンツジャパン株式会社は、コンテンツがコンセプト。

私たちは、コンテンツを通じて世の中に幸せを創り出します。
"Make Happy Contents!"

これらによって、社員は「うちの会社が行う事業範囲」を理解することができます。なんとなくでも、「ああ、これはうちの仕事じゃないな」「うーん、受ければ儲かるけど、うちの範囲じゃない」「これは一見違うように見えるけど、コンテンツだな」みたいな判断ができるようになります。

ホラクラシーとコンセプトの関係

ホラクラシーは、基本的に管理なしで有機的に組織が動いていくみたいなイメージがありますが、例えばいくら自由だからといって、アパレルショップが急に八百屋を始めたら、さすがに誰でも驚きます。そんな事業を新たに始めたの?副業?みたいな反応をされること間違いなし。

ただ、コンセプトがきちんと全面に打ち出されていれば、こういう一見無茶苦茶なこともできます。国内で最も美しく広範囲のコンセプトをつくっているのは、無印良品でしょうね。もはや無印良品がなにつくっても驚かないはずです。

ホラクラシーは自由な働き方だと思いますが、一定の範囲内(企業コンセプト)において自由としておかないと、企業は無茶苦茶になりますし、一体どころかバラバラになります。そういう意味では、企業のコンセプトを決めることも、ホラクラシー的組織経営の第一歩かな、と思うわけです。

ルールを決めるのではなく、範囲を決める。

これが私が考える組織のひとつのポイントですね。

新・ホラクラシー組織解説講座

今後も私たちのホラクラシー的組織論の記事は執筆していきますが、その全容が待てないという人は、こちらの講座をご覧ください。パワーコンテンツジャパン株式会社の組織論のすべてが詰まってますので。


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