幸せのすそ

歴史的な猛暑が続いた夏、私は人生初の一人暮らしを決め込んだ
不動産屋の担当は結婚を控えているらしく、2世帯住居を購入するから稼がなきゃいけないんですよ、と内覧の道のりの車中意気揚々と話した

記念日には高級ホテルのラウンジでお祝いしてあげるんです、だけど一つ不満があって欲しい財布の購入を相談したら却下されたんです、何なんですかね

おいおい、私に言うのちゃう

人間関係全般本人ではなく他人に不満を言う時点でお先に暗雲が立ち込める
お祝いしてあげる、は不幸の始まり
これから結婚をする者同士大切なことをすっ飛ばしている

そんなこと口が裂けても言わない
彼は幸せなのだろうか?

余計なお世話が始まりそうなところで物件到着
ネットで見つけた時からそこに決まる気がしてた
玄関を開けた途端、うんやっぱり。
宙に浮いていたインスピレーションが身体へと落ち腹が決まる

たった一度きりの人生、一人暮らしを決め込んだ
自分の幸せの裾を掴んだ





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