ギガントアーム・スズカゼ 第八話 製作途中版①

この記事はギガントアーム・スズカゼ第八話の書き上がった最新分を掲載しているものです。
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 爆炎。
 轟音。
 やや遅れて窓ガラスを揺らす衝撃波。
 己の愛機、ブランケイドを襲った唐突な爆発に、さしものトーリス・ウォルトフも目を剥いた。

「え」

 と、硬直したのは数秒。即座に平静を取り戻したトーリスは、最寄りのコンソールへ駆け寄る。操作し、長距離レーダーのモニタを呼び出す。呼び出しながら記憶を手繰る。今し方ブランケイドを襲った爆発。十中八九、あれは砲撃だ。それもかなりの長距離からの。
 だが、誰が? そして、どこから?
 思考する合間にも二撃目の爆発。ブランケイドの態勢が傾く。三撃目の爆発。窓ガラスがびりびりと揺れる。
 ようやく、探知網が標的を割り出した。舌打つトーリス。一人しかいない状況が裏目に出るとは。
 どうあれ魔力のパターンを照合。次いで標的方向へ望遠魔法システムを展開。司令塔の屋根が変形し、レーダーと望遠鏡を複合したような機械が姿を現し始める。
 その展開が完全完了するより先に、パターン照合の結果が出た。

「固有識別……ギガントアーム、スズカゼだと!?」

 声を荒げるトーリス。無理もない。スパイからの報告によれば、スズカゼは現在調整に難航している、筈だったからだ。

「ならば、なぜ……」

 トーリスが呟いたと同時、望遠魔法システムが標的を捉える。大型のホロモニタに映し出す。
 かくて現れたのは、やはりギガントアーム・スズカゼの姿だった。
 しかも、先の交戦時とは全く違う装備をしている。左上腕を覆う巨大なキャノン砲。今までにない方向性の武装だ。


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