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台湾の南湖大山で登山をした話③『❷台湾登山後編』

よこしまのはちです。
前回は『❷台湾登山前編』で登山初日までの出来事を書きましたが、今回は登山2日目~4日目の出来事を書いて行きたいと思います。

●1日目(4/30)
深夜便で成田空港を出発し、早朝に桃園空港へ到着。
台北で食事と山行アイテムの買い出し。
夕方、台北から羅東へバスで移動。
羅東の夜市で食事をとり、羅東のホテルで宿泊。
●2日目(5/1)
羅東から温泉街である礁渓温泉へ移動。
礁渓温泉から宜蘭駅へ電車で移動。
●3日目(5/2)
宜蘭駅にあるバス停から登山口である勝光まで2時間半弱かけて移動。
ーー登山開始ーー
勝光登山口~新雲稜山屋まで登山。
●4日目(5/3)
新雲稜山屋〜南湖北山(3,536m)〜
南湖北峰(3,592m)~南湖山荘〜南湖主峰(3,742m)
●5日目(5/4)
南湖東峰(3,632m)〜南湖山荘〜新雲稜山屋
●6日目(5/5)
新雲稜山屋〜勝光登山口
ーー登山終了ーー
勝光~宜蘭駅までバスで2時間半弱かけて移動。
預けていた荷物をピックし電車で礁渓温泉まで移動し4日ぶりの入浴。
礁渓温泉~台北までバスで1時間半の移動。
台北で台湾最後の夜を過ごし、終電で桃園空港まで移動。
●7日目(5/6)
深夜便に乗車し、早朝に成田空港へ到着。

■4日目(5/3) 南湖主峰へ

新雲稜山屋〜南湖北山(3,536m)〜南湖北峰(3,592m)~南湖山荘〜南湖主峰(3,742m)
移動距離10.5㎞
累積標高1777m/997m(のぼり/くだり)

登山2日目は南湖山荘まで行き、テントを張った後に南湖主峰までピストンでいくプランです。

出発は明るくなり始めた5時頃。
ピークをめざすといっても南湖大山の森林限界は3,300m、新雲稜山屋は約2,615m地点なので、まだまだ樹林帯の中、標高をあげていきます。
まずは初めのチェックポイントである、審馬陣山(3,141m)を目指します。

・遠い森林限界

新雲稜山屋出発直後は2,400m地点まで下りました。
この尾根、アップダウンが多く、容赦ないコースです。

そして、最低標高まで下りたら、その後は急登をひたすら登っていきます。
蛇腹な道はなく、直登に近い登山道でした。
私は急登の方がすきなのでいいのですが、、、それでもかなりしんどかったです。

たまに訪れる平坦な道が救いです
と思えば直登です

ただ次第に森は深さを増し、樹木の大きさから森のダイナミックさを感じました。
南湖大山のスケールの大きさを身をもって知ることができます。

遠くに見える1番高いところが南湖主峰

登り始めて2時間、ようやく目的地である南湖主峰が見えてきました。
まだまだ距離も標高も稼がなければと気合が入ります。
そしてこのあと第一ポイントである審馬陣山(3,141m)へ到着しました。

審馬陣山(3,141m)

審馬陣山は日本でいう『日本百名山』、『台湾百岳』にも選ばれているらしいです。ただ展望などはなかったですね!

・やっと開けた展望

審馬陣山を出発して数十分、小屋スタートから4時間ようやく森林限界といえるところまで登ってきました。

さっきまでは遠くに見えていた南湖主峰がぐっと近くなりました。
一本道を歩き切れば稜線、そして次に目指す南湖北山(3,536m)です。

ただ、この日はかなりの夏日で森林限界に突入すると、日差しを遮る木々はなく直に太陽があたります。
GWの時期、日本の高山は残雪期で、1か月前までは白馬でスキーを楽しんでいた我々の身体にとって、急に訪れた夏山登山はかなりこたえました。
(しかも半年以上ぶりのテント泊)

普段ならテンションがあがるはずですが、無言で歩みをすすめ、南湖北山(3,536m)に到着!

南湖北山(3,536m)/念のためぼかし入れさせていただきました

しんどいながらも頑張れたのは、同じスピード感で歩いていた現地パーティーの皆様と励ましあっていたおかげです!
頑張って!という意味の「ジャヨウ!」を掛け合いながら歩きました。
記念に撮ろうよ!とジェスチャーをしてくださったので南湖北山で撮影をさせていただきました。
そしてこのパーティーさんには後程の南湖山荘でも助けていただくことになります、、、涙

このあとは南湖北山を出発しいよいよ南湖カールを目指します。
ただ、ここから先は今までの樹林帯の雰囲気と違った岩場の稜線にガラッとチェンジ。
既に出発から5時間経った10時。集中力を切らさずに進みます。

・岩場の稜線、そして南湖カール

右上に見えるのが南湖主峰です

南湖北山~南湖山荘までは標識の情報によると2.25km。
稜線からの景色では意外と近く見えてしまうのですが、すぐに着きそうでなかなか着かないのが稜線歩きですよね。
またこの稜線もアップダウンがある道でした。

ちなみに南湖大山は台湾の紙幣、2000元札の背面の絵柄になっているとのことです。
紙幣を持参すればと後悔しました、、、!

日本アルプスに似た景色です
ロープを使わなければいけない道も

ハイマツに似た植物が生えていたりと雰囲気は日本の稜線のよう。
ただ、日本のハイマツよりも大きく、高さがありました。
枯れ木も大きく、やっぱり稜線に出てもスケールの大きさを感じます。

ちなみに小さいカメムシが沢山いて怖かったです。(カメムシ苦手なので、、、)

巻道はなく1番高いところまで登ります

登山道はかなり整備されていました。
ロープ、くさりはありましたが、ハシゴはありませんでした。

北山出発から1時間半ほどでしようか。
ようやく南湖カールを見渡せる南湖北峰(3,592m)付近に到着です。

このカールを見たかった、、、!

・200mのザレ場下り

南湖北峰(3,592m)付近に11時半頃到着し、カールの感動に浸るもつかの間、
『あの小屋のある場所まで標高を下げるのか、、、!!!!汗』

南湖山荘がある場所は約3,380m。標高差約200m。標高を下げるということは、下山の時も登り返さなければいけないということ。かなり疲労がたまっていたということで堪えましたが、ここまで来たら行くしかありません。降ります。

ピーク周辺はしばらく雨も降っていなかったということで、小石の乾燥が進み、滑りやすくなっていました。
足の疲労感が増すなか、慎重に下ります。

そして、12時頃ようやく小屋に到着しました。

・南湖主峰へ

私たちのこの日のミッションは南湖主峰までいって降りてくるところまで。小屋に到着して、テントを張り、荷物をデポして休憩もせずに主峰へ向かいます。

南湖主峰は3,742mのため、小屋周辺との標高差は約360m。
200m下ったと思ったら、すぐに360m登らされる自分の足のことを思ったら不憫でなりません。

さきほど降りてきたザレ場の向かい側を今度は歩きます。

カール内の道。向こう側にみえるのがザレ場。

カール内の道を歩き切ったら東峰側と主峰側の分岐が訪れます。
この先は岩場の道です。

分岐道。

疲労で我々二人の間に会話はなく、無言で登り進めます。
そうして歩いているとまさかの出会いが!

台湾の山羊です!

登山道を歩いたり、その脇の植物を食べたり。私たちが声をかけても逃げようとせず、かわいい瞳でこちらを見つめます。
台湾の野生動物に遭遇することができて気分も上がり、最後の力を振り絞ります。

滑る岩場の道
大きな石が組んである道も

そして、小屋出発から約10時間。ついに南湖主峰(3,742m)へ到着です!

雲が抜けた瞬間を狙って

やっとひとつのミッションをクリアでき、気持ちがほぐれます。
かなりしんどかった分、喜びも倍増。
もっとここにいたかったのですが、写真を撮って下山します。

下山時は多少心の余裕もできたため、登りでは撮影できなかったツツジやシャクナゲを撮影しました。
ちょうど4月下旬から5月頭くらいまでがシーズンとのことで、きれいに咲いているお花を見ることができました。

お花畑が広がっていました
南湖東峰(3,632m)側と一緒に

・やっとテントでのんびり

来た道を戻り、やっとテントでの休息の時間です。
せっかくなので、小屋の中を見学させてもらいました。

南湖山荘
夕食が作られていました。この日も歩荷さん数名とすれ違いました。

就寝スペースも昨日の新雲稜山屋と似た雰囲気でした。

またお水に関しては、しばらく小屋周辺で雨も降っておらず、沢の水が枯れていたり、小屋の貯めていた雨水もなくなってしまったということで、水を補給することができませんでした。
我々も水がぎりぎりということもあり『どうしようか、、』と悩んでいたところ、先ほどの現地のパーティーの方が『水はあるのか?!これ飲んでいいぞ!こっちはいっぱいあるから』(全て台湾語だったので聞き取れなかったのですがジェスチャーで伝わりました。)というニュアンスで声をかけてくださり貴重な水を分けていただきました。

事前に調べた限りでは南湖山荘での補給が可能と確認していたのですが、直近の天候状況で水が枯れてしまったようです。
これは反省点ではあるので、もし今後行く方がいたら新雲稜山屋で多めに水を補給することをおすすめいたします。

そして、また台湾の方の親切なお心に救われました、、、。感謝の気持ちしかないです。

その後、登山パーティーの皆様としばらく会話(ジェスチャーや翻訳アプリで)をしたのち、別れを告げテントへ戻り夕食を食べ、明日に備えて早めに就寝しました。
長かった1日の終わりです。

あこがれのテント場でテント泊

■5日目(5/4) 南湖東峰、下山

南湖東峰(3,632m)〜南湖山荘〜新雲稜山屋
移動距離は14㎞
累積標高1029m/1821m(のぼり/くだり)

・南湖東峰(3,632m)へ

この日は朝日を狙って東峰へ行きました。
新雲陵山屋で出会ったけーちゃんグループから、朝日を狙うなら南湖東峰の方がいいとお勧めいただき、本来は主峰だけ狙うつもりでしたがせっかくなので東峰にもいくことにしました。

南湖東峰へいくルートは2通りあります。
①ひとつは昨日の主峰との分岐で東峰へいくコース。
②もう一つは南湖山荘の裏側から上がっていくコース。

①は比較的安全な道を時間をかけていくルート、
②は途中から急峻な岩場を三点支持で上がっていくようなルートです。

私たちは②でいくことにしました。

3時に起床し、4時出発、5時には山頂、5時20分の日の出には間に合うようにいくという行程です。

まだ暗いうちのスタートだったため、テープが石に巻かれた目印はあったものの、道迷いしやすそうな道だなと感じました。
GPSをずっと見ながら歩いていたので迷うことはありませんでしたが、GPSがなかったら進めなかったと思います。

GPSはYAMAPのアプリから南湖大山の地図をダウンロードしていきました!
ルート案内も問題なかったです◎(2023年5月現在)

辺りが明るくなり始めたころ、岩場に到着です。

穂高感があります

出発から1時間、ついに南湖東峰に到着と同時に日の出タイムの開始です。

東から登る朝日を一番近い場所でみられるということで東峰をおすすめしてくれたと思うのですが、まさに雲海とのコラボも見ることが出来て感動です。

山頂の岩の形がとってもかっこよかったのです。

岩肌にあたる朝陽がかっこいい
南湖東峰(3,632m)

ここで十分に景色を堪能し、後ろ髪をひかれながらも下山開始です。

来た道を戻ります。
小屋の後ろ側から見た景色

このあとテントを撤収し7時半頃出発、下山を開始します。
こんなにハードな思いをするのであれば、このカールに2泊してカールを囲む山々をゆっくりと歩きまわるプランでも良かったのかな~と少し後悔しました。もっとこのカールでの時間を過ごしたかったです。

ですが、我々は遅くとも5/5の終電で桃園空港へ移動しなければいけません。
さみしい気持ちを抑えて、またあの高低差200mのザレ場急登を登ります。

下山プランは、明日9時半頃に勝光バス停から出るバスに乗れるよう、この日は下りれるところまで下ります。

・下山の開始

思い返しても下山1番の核心部はこのザレ場です。
既に2日間でかなり足を酷使して疲れも取れきれていない中、この登りはかなりハードでした。

乳酸が溜まる登り

ただ、この南湖カールをバックに登れることはとても気持ち良かったです。
それと同時に、この坂を登りきってしまえばこのカールを見ることができなくなるという悲しさも募ります。

無事に登りきりカールに別れを告げます


あとは昨日歩いた道を戻るだけです。

最後の森林限界。雄大ですね。
下山時、複数の現地の方とすれ違い『ニーハオ』とあいさつを交わしお話をする機会があったのですが、日本人がこの南湖大山を歩いていることが珍しいのか驚かれることが多々ありました。

また、会話の中でプランを教えてもらった際に、南湖山荘をベースキャンプ地として、中央尖山までピストンで行って戻ってくる計画を立てている方もいて『うわ~そのプランうらやましい~!』と思ってしまいました。
(日本で登山をしている時と変わらず、すれ違い時に行程の話を聞くことは楽しいです。笑)

下山時もこういった楽しみはありましたが、やはりパーミッションで入山人数の制限をしているからか、基本的に混雑するということはなく、静かな山歩きでした。

話は変わって、下山の際に水場である『雲陵水源』に立ち寄ってみたのですが、しばらく誰も足を踏み入れていないのではないかという雰囲気で沢も枯れていました。涙

枯れた沢筋と思われる場所

この日は16時くらいまで歩き続け、行けるところまで下山を進めたところ、登山口まで1時間半ほどのところにテントを張り就寝しました。

(南湖大山はエリア内であれば自由にテントを張っていいということなので、登山者の邪魔にならない・植物への影響がすくない場所にテントを張りました。)

■6日目(5/5) 下山。街へ。

新雲稜山屋〜勝光登山口
ーー登山終了ーー
勝光~宜蘭駅までバスで2時間半弱かけて移動。
預けていた荷物をピックし電車で礁渓温泉まで移動し4日ぶりの入浴。
礁渓温泉~台北までバスで1時間半の移動。
台北で台湾最後の夜を過ごし、終電で桃園空港まで移動。

9時半頃に勝光バス停から出るバスに乗らなければいけなかったため、6時過ぎには出発しました。

約2.5㎞ほど歩いたところで、8時頃ついに下山完了となります。
待ち時間が1時間ほどあったため、休憩です。
この時も登山口には数名のグループが入山していきました。

おつかれやま!YAMAPは台湾でも心強かったです

ただ、我々はバスに乗るまでが勝負。
バス停に付き、バスに乗れるまで安心できません。

勝光のバス停は登山口から2~3分ほど歩いたところにあります。
初めていく場合、登山口やバス停を見つけることも難しいかもしれません。
(しかも電波が弱く、ほとんどネットは繋がらなかったので調べることも難しかったです。)

勝光バス停
2023年5月時点の時刻表

この後無事にバスに乗車。しかもバスの運転手さんが行きのバスと同じ方で、手を振って挨拶をしてくれました。
行きのバスと同じように煮卵の茶葉蛋(チャーイェダン)を食べて2時間半後、宜蘭へ到着し降車時にお金を払って、今回の山旅を締めくくることができました。

下山中、ずっとこの卵を食べたいと思っていました

長文となりましたが、読んでくださりありがとうございました!

次回は❸番外編ということで、1日目後半、2日目、またテント泊で食べたごはんのこと、台北で行ったお店のことなどを書いていきたいと思います!

台湾登山のことはインスタグラムのストーリーアーカイブでもご紹介しています。



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