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旅と人生

旅と人生は似ていると思う。
というのは、私は旅に出るとほぼ知らない人に話しかけられて、そして目的地に着く頃にはその人とは別れ、その出来事は思い出やアドバイスに変わることが多いから何となく感じてしまう。

今、信州に一泊二日の短い旅に出ている。
ここ最近は電車での旅がほとんどだ。車内で息子とお弁当を食べていると通路を介して隣にゴルフ用のミニスカートをはいた私より年齢が上だろうと分かる人が座ってきた。

そして、しばらく息子と私が話しているのを聞いて「カワイイコね」と言ってほほえんできた。わざとらしくはなく聞こえたので素直に「ありがとうございます」と返した。

それからおもむろにその人は私にスマホの充電器を持っていたら貸して欲しいとお願いしてきた。最初びっくりしたが、電源の残量が9%しかないことと、その人が今持っている電源は韓国用で日本の電源には合わないと言ってきたことから、貸すことに決めた。

その人は韓国人だった。「韓国にお住まいなのですか?」と聞くと、今は信州松本に住んでいて韓国からの帰りのようだった。

短い時間だったが韓国のおいしいものや韓国までの飛行機代が安いことなど色々な話をした。

その話の中で「あなたは旅行にきてるの?」と聞かれたので、諏訪湖に行くこと、諏訪は初めてということを伝えた。

その人は、諏訪は温泉が良い。食べ物もおいしいよ。きっと良い旅になるよ。と言ってくれた。

そして別れ際、その人は私に「もうそろそろ着くのね。本当にありがとう」と(その人は実はとても疲れていて眠くてたまらないらしいということなのだが)何度も言ってくれた。

こちらこそありがとうございますと私も言われた回数だけ返事をした。

嘘のない「ありがとう」で交わして終わる人との出会いは心に残り、今も思い出す。

これから出会う人も、そして今後何度も会う人とも、できれば最後に心からありがとうと言って手を振る人生を送りたい。

お金で買えない幸せってこういうものでもあるのかなと考えた一日だった。




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