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沢山の幸せのカタチがあるのは、百も承知だけれど。

〝私の人生に、子どもはいらない〟

そう思っていた。

なぜそんなことを思ったのかといえば
赤ちゃんを可愛いとも
子どもを好きだとも
思ったことがなかったからだ。

さらにいうと
私なんぞが親になる資格はないと思っていた。

『親になる資格はない』を言い換えると、
責任なんておいたくない。
誰かを育てるキャパもない。
自分のことだけ考えて
一生好きに暮らしたい。

要するに私は
幼稚で自己中心的な考え方しか出来ないヤツだった。

子ども産むなんて怖いし痛いし
酒も飲めなくなるんでしょ?
絶対イヤ!

両親が私の未来を憂いて
やれ、結婚しろ
やれ、出産適齢期は…
なんて話をしてきても
なんかもう嫌悪感しかなかった。

私の人生は私のもの!
何が幸せかは私が決めるんじゃい!
結婚も子どもめんどくさっ!
必要になったら頑張るから
もう放っておいてくれっ!

さすがに言い返しはしなかったが、
へーへーと適当に相槌をうって
心の中で叫び散らかし、
親の話を右から左へと
華麗に聞き流していた。

ところがある日旦那に出会い、
息子を授かり、出産した。

私は幼稚で自己中心的な女から
妻になり
母になった。

その経験は、
私の人生をぐるりと180度変えた。

私のたった37年の人生で
1番の変化は何かと問われれば、
間違いなく息子を産み、母になったことで起きた
心の中の変化の部分だ。

息子が産まれてから
赤ちゃんを
子どもを
心の底から可愛いと思えるようになった。

でもまぁ結局、1番可愛いのは我が子。
何をしても可愛い。
全てが愛しい。
産まれたばかりのホニャホニャと儚い息子を抱いて
思わずポロリと涙が出た。
私の中の母性が誕生した瞬間である。
どんだけ遅いの。
タイムラグありすぎだろ。
むしろあって良かったよ、母性。

その後7年経ったいまも、
母性は枯渇することなく
ホニャホニャの息子もいいけど、
ヨチヨチ歩く息子も、
テクテク歩く息子も、
自転車で爆走する息子も、
なんかもう全部可愛いし愛しいよねぇ…
長男も次男も、日本一、いや世界一、いや宇宙一可愛いよねぇ…
と、大真面目な顔で呟いちゃうくらい
息子達に対しては
相変わらず母性全開で生きている。

人様にいい顔しつつ、
結局自分第一主義で生きてきた私にとって
『自分よりも大切だな』
と純粋に思える存在があるというのは
未だに不思議な感じがする。

それと、
誰かの経験やアドバイスは
本当に為になることも身をもって知った。

若い頃は人の話を聞きながら
どこか他人事のように聞いていた。

「へぇ〜、そうなんすかぁ〜」とか言いながら
話半分で聞いていた。
だって結局他人だし、
私とあなたの人生って色々違うし。

ところが、子どもが産まれてみたら
先輩方の言っていたことが
ズバズバと当たっていることに気付いた。
笑えるくらい、言う通りになっていく。
占いだったら週2で通っちゃうレベル。
先輩は偉大。
世の母は偉大。
世の父も偉大。
今まで話半分で聞いてて、すみませんでしたっ!
諸先輩方や、私に経験を語ってくれた方々にジャンピング土下座をし、
そこからは改心して
どんな場面でも人の話をちゃんと聞こうとするようになった。
やはり誰かの経験は、自分にとっても大きな学びになる。
遅すぎる人格形成。

そんなわけで
噂では聞いていた出産の大変さを身をもって知り、
いや、それよりも出産後ってこんな大変だったんかーい!と盛大にツッコミをいれ、
ホルモンバランスの荒波に溺れ、
世のお母さん方を尊敬し、崇拝し、
息子の一挙手一投足に不安や喜びを覚え、
子育てってしんどすぎー!と叫ぶ日も
子育てってサイコー!と叫ぶ日もあり、
気付けば酒が飲めなくても
思い通りに生きられなくても

想像していた人生よりも
私の人生は随分と彩られていた。

それは、全部息子のおかげだった。

つまりは、
私と出会って結婚してくれた
物好きな旦那のおかげでもある。

そして、
私を産んで育ててくれた
旦那を産んで育ててくれた
大切な両親達のおかげでもある。

2人目の息子がお腹に宿ったときは、
世の中が不安で暗くて前が見えなくて
人との繋がりが薄れている
そんな時期だった。

次男の誕生は、
そんな暗い世の中に差し込んだ
希望の光みたいに見えた。

不安で心配も尽きなくて
この先どうなるんだろう?
そんなニュースばかりだったけど
次男はお構いなしに大きな声で泣き、
よく眠り、
よくおっぱいを飲み、
どーんと構えた風貌でそこにいてくれた。

日々の成長を見て
そこにある命を感じながら
私は、私たち家族は、
確かに幸せを感じていた。


世の中には
子どもが欲しくても
なかなか恵まれない家庭もある。

子どもが産まれても
愛情をもって育てない家庭もある。

子どもが産まれても
沢山のことを思い悩む家庭もある。

子どもを産むことを
選ばない夫婦もいる。


そもそも子ども以前に
結婚にだって
色んな選択肢がある。

とにかく色んな家庭や夫婦や繋がりがある。

だから、
こういう話題を世の中で話す時
控えようと思ったり
自分から話しづらかったりする。

なぜなら相手が
どういう考えをもってて
どう感じるか分からないから。

知らないうちに
相手を傷つけたり
イヤな思いをさせたりしてしまうかもしれない。

それを分かった上で、
なーんのオブラートにも包まずに書く私は
変わらずに幼稚で自己中心的なのかもしれないけど、
敢えて、書く。

私は、自分に子どもがいて幸せだ。

子どもを産み、育てることが出来て幸せだ。

子どもがいる人生を歩めて、幸せだ。

子どもがいない幸せもあると思う。
でも、自分の子が与えてくれる幸せは
私の想像を大きくこえるものだった。

〝いてくれるだけでいい〟
〝無事に大きくなってほしい〟
〝幸せになってほしい〟

子ども達に対して願うのは、
結局いつも、それだけだ。

当たり前だけど、
私も親も、その親も、その親も、
きっと、そうやって愛情をもって
子どもを育ててきた。

自分の子どもにしか渡せない愛情がある。

それは、
多分動物の身体に組み込まれた
本能的な部分なのだと思う。

私は、息子達がいて幸せだ。

そして、一生分の幸せを
もう既に息子達からもらっている気がしているから
これから先、反抗期が来て
イライラすることを言われて
息子達が少しずつ離れていっても
〝そういうもんだよね〟と
多分思えると思う。うん、多分。
きっとすごく寂しいけど。

更に欲をかいていうと、
大きくなった息子達にも
出来れば親になってもらいたい。

なぜかといえば、
私は息子達に
人生で1番の幸せを与えてもらったから。

親にならないと知ることのできない
特別な幸せを
息子達にも感じて欲しいのだ。

これは私のエゴで
息子達には息子達の人生があるから
押し付けたりはしないけど
今の私はそんな風に思ってる。

そして、
今にして思えば私の親も
多分その幸せを感じて欲しくて
結婚や出産の話をしたのだろうなぁと思う。

へーへーと
華麗に聞き流していた親の愛を
私は今になって感じている。

これは想像に過ぎないけど、
私は結婚せずに子どもがいなくても
それはそれで幸せに生きていると思う。
好きなものに囲まれて
好きなことをして生きる幸せを
謳歌しているんだと思う。

でもそれは、
子育てをしている時のような
想像の斜め上をいくガハハと大笑いするような幸せや
ドタバタと必死な中でドカンッと落ちてくる突然の幸せや
日常の何気ないシーンに野良猫みたいにふらりと現れる幸せとは
違うんだろうなぁと想像する。

ハラハラドキドキしたり
思わずホロリと泣いたり
心の底から怒ったり
逆にめちゃくちゃ笑ったり

誰かの存在によって感情が激しく揺さぶられる日々は
それを望まない人にはしんどいのかもしれないけど、
少なくとも昔はそれを望んでいなかった私にとっては
とても新鮮で、刺激的で、
何と言うか〝生きている〟ことを
感じさせてくれる時間になっている。

だから、私は息子達がいて幸せだ。



実は旦那と前から
もう1人子どもがいたらなぁと言っていた。

とはいえ、
そう上手く行くはずもなく
「まだ時期じゃないのかねぇ」
「もしかしたら、もう無理なのかもねぇ」
「私たちには2人がいるから充分だけどねぇ」
なんて会話をしていた。

でも今、
私のお腹には
小さな小さな命が宿っている。

まだまだ小さくて
心許ない命が宿っている。

もしかしたら、
人生の幸せが
また一つ増えるかもしれない。

いや、もう既に幸せは増えていた。

「おーい、待ってるよー!」
「聞こえてるー?」
「あかちゃーん!」
「おもちゃかしてあげるからねー!」
「いいこだねー!」
「可愛いねー!」
「はやく会いたいよー!」

息子達と旦那が
順番にお腹に向かって優しく声をかけ
小さな手で
大きな手で
そっと私のお腹を撫でて
命の温もりを感じようとする時、
私たち家族は沢山の幸せを
お腹の子に貰っている。

ほら、もう既に幸せは増えている。
それも、溢れるほど。

まだ安定期にもなっていない
不安定な命のことを
なぜわざわざ書くのかと言えば

この瞬間の愛しさを
大切に、忘れないようにしたいから。

そして、いつか伝えたいから。

あなたがお腹にやってきた時から
私たち家族が
どれほど幸せだったのかを。
どれほど嬉しかったのかを。

先のことはまだまだ分からないけど、

〝いてくれるだけでいい〟
〝どうか無事に大きくなってね〟

お腹の子に願うのは、
やっぱりそれだけ。

会える日を
楽しみに待っているよ。

家族みんなで、待っているよ。

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