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美術展と編集と@ポーラ美術館

箱根にあるポーラ美術館へ。都心から車で2時間弱。運転が好きなので、ちょうど良い距離感。光が注ぐ空間、そして、施設の規模感が好き。あまりに広すぎる施設は、時々、途中でバテてしまう。

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玄関前の長いアプローチも好き。東京からの2時間でだいぶ気持ちが緩んでいるが、この直線を歩くことで日常から非日常へのスウィッチを完全に切り替えることができる。

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今回のタイミングでの企画展は『シュルレアリスムと絵画』。展示が始まった2019年はシュルレアリスム誕生から100年という節目にあたるらしい。100年の変遷とともに、フランスから各地へ飛び火したシュルレアリスムの拡大をたどれる構成になっている。

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第1会場は、ダリやエルンスト、ピカソ、マグリットから、古賀春江、三岸好太郎、瑛九、吉原治良などの超現実主義の日本作家へ。

第2会場は、一転、「シュール」という独自の発展を遂げた日本映画や漫画へと展開。つげ義治の『ねじ式』やウルトラ怪獣をデザインした成田亨の作品、そして、束芋の映像作品と続いていく。「無意識の探求」という目的から離れ、現実離れした奇抜で幻想的な芸術として受け入れたられた様子が見て取れる。

キュレーターの方のセンスが垣間見える展示が私は好き。

作家名を冠した展示と違い、流派や国や時代などでカテゴライズする展覧会は、1点1点の作品もさることながら、その構成がとても気になる。いや逆に、作家単位の個展の方がよりヴィヴィッドな構成力が必要となる、か。とにもかくにも、ただの時系列で作品の羅列をしていない展示が好き。

東京都美術館の『ハマスホイとデンマーク絵画』も気になっていたのに、忘れていた。行かなくちゃ。

どんなストーリーをつけて、どういうふうに見せて行くか。「こう解釈しましたが、いかがですか?」という問いかけ。

集めて整理するという意味をもつ美術館における「キュレーション」は、雑誌の編集に限りなく近い。まずは素材を集め、どう料理し、どう盛り付け、どうコースに組み込むか。たとえ同じ素材を使ったとしても、同じ結果はありえない。

どうしても、「ふむ、ふむ」と勉強目線になってしまうのが玉にキズ。

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晴れた日の冬の光の透明感は格別。

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ポーラ美術館は冬に訪れるのが好き。

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シュルレアリスムの関連企画展、『モードとアートの香水瓶 - ポワレ、スキャパレッリ、ディオール』も良かった。昨今はモダンなデザインの香水瓶が主流だが、バカラ社などとコラボしたこってり濃厚な佇まいの香水瓶もやっぱり好き。

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自然光あふれるアトリウムでは、佐藤翠さんの『Diaphanous petals(ダイアファナス・ペタルス)』展。ファッションアイテムがひしめくショーウィンドウを描いた大きな作品が目を引く。

しばらく服を新調することに腰が重く、ショッピングというものを楽しんでいない期間が長かった。東京に戻ったら、ウィンドショッピングを楽しみたい気分に。

とても良い気分転換になった。



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