見出し画像

フェミニズムと資本主義

MBAに通っている時、「女性活躍」に関する講義を積極的に受講していた。修士論文も大枠ではそれをテーマにした。

一方で、「うーむ」と悩む部分も多かった。ガラスの天井を突き破り、女性が現在の男性と同様に出世しやすい社会が、本当に目指すべき社会なんだっけ? 

その私の根本的な疑問に応えてくれるような一冊『99%のためのフェミニズム宣言』を読んだ(とはいえ、明確な「ゴール」が提示されている本ではない)。

フェイスブック社のCOO、シェリル・サンドバーグの『リーン・イン』は、MBA中に読んだが、その教義と対極をなすフェミニズム論が繰り広げられている。

「リーン・イン・フェミニズム」は女性も競争に参入し、そこで高い生産性を上げ、マーケットや国家に貢献することがフェミニズムの目標だとする。これが問題含みなのは単に抑圧的な価値観であるというだけではなく、新自由主義を正当化するからである(中略)。そうすればフェミニズムは人々を開放するどころか、より追い詰める道具となる。『99%のためのフェミニズム宣言』より

「資本主義の構造、どうにかならんもんかな」と、私ひとりが考えてもどうしようもないことは分かっている怪獣のことを、いつもぼんやり考えてしまいがちな私とすこぶる相性が良い本だった。

上記の抜粋もそうだが、解説がとても良い。

あまりにあたり前に順応してきた(資本主義という)システムに疑問を投げかけ、性をめぐる多くの問題の根元をその中に見出してくれることで、私たちは自分と密着した生活を、それを支える社会を、一歩引いた視点からながめることができる。フェミニズムが見つめているのはけっして女性対男性の対立ではないこと、そうではなく、苦しみを作り出すもっと大きな「構造」があることを、わたしたちに教えてくれる。

対処療法ではなく、根本治療を。今、目の前の問題、崩せない壁の問題は、はたして「その点だけ」の問題なのか、「構造」の問題なのか?




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?