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分かりませんは、きっとトキメキの小さな種

実は2年前に台湾企業で働くことになったとき、私の中国語力はそこまで高くはなかった。だって、本当にゼロの状態から1年間、語学学校に行っただけだったもの。小学生並みの語彙力と穴だらけの文法力の中国語を用いて、4人もの面接官と対話を重ねた。

でも、驚くことに採用されたんだな。日本市場向けのコンテンツリーダーとして。

語学力がいまいちだった私の採用を決めた理由を、あとでCXOが教えてくれた。もちろん台湾に移住した後も、フリーのライターと編集の仕事をしていた経歴は大きな決め手だった。でも一番いいと思ったことが、「分からない」とはっきり言えたことだったそう。

すべてのグローバル企業がそうだとは言えないけれど、外国人と働く上で「分からない」と聞けるability(能力)はかなり大事だと思う。今まで自分が属していた文化圏以外の人と働くと「知らなかった」ことが出てくるのは当然だから。そこをなんとなくスルーしたり、知ったふりをすることは、後で大きな誤解や意思のすれ違いを招く。

日本は「以心伝心」とか「空気を読む」という文化が根付いているので、「分からない」と伝えることは、どちらかというとネガティブな印象になる。でもちゃんと分からないって声に出して聞くことで、未然に防げる誤解も多いのでは? と外国で働いてみて思うようになった。


これはもしかすると台湾人の特性かもしれない。でも「分からない」と伝えると、違う言い方をしたり英語を交えてあちらもどうにか伝えようとしてくる。そして私もひと通りの説明を聞き終えたあと、「つまりこういうことだよね」って確認をしていく。


ちょびっと、めんどくさいね。

でも「自分」と「私以外の誰か」はいつも違うから。ちゃんと分からないと答えることが、漠然としているあの言葉「コミュニケーション」ってやつの第一歩なんじゃないのかな? 

そして分からないと思えることって、実はとっても素晴らしいもの。今まで自分の中になかった「新しいなにか」に出会える絶好のチャンスだもん。


「分かりません」は、きっと新しいときめきに出会うための魔法のとびら。少し恥ずかしいけど、思い切って言ってみると、みんなちゃんと教えてくれる。大丈夫。

とベトナム語の勉強を始めた今、昔の事を思い出したのでした。

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