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従業員教育を受ける時間は労働時間に含まれるか

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 あっという間の三連休が終わり、今日からまた仕事ですね。
 がんばっていきましょう!

 さて、私のnoteでは何度か、従業員教育が大切であることを書いてきました。

 通常業務で学ぶこともたくさんありますが、基本的な安全教育やコンプライアンス教育などは、業務に直接関係しないように見えてとても重要な教育です。

 このような教育を繰り返し実施し、じわじわと日常業務に役立てることができるようにしなければなりません。

 でも、業務が立て込んでいる時期に従業員教育の時間を確保することは大変ですよね。
 しかも、担当部署ごとに繁忙期が少しずつズレているため、全従業員を対象に一度に教育をすることは現実にはかなり難しいことが多いでしょう。

 しかし、外部講師を招いてする研修は特に、何度も講師を招く分けにもいきませんから、業務に支障が出てしまう部署があることは含んでおく必要があります。

 業務を犠牲にするわけにはいかない、ということで、業務時間終了後や休日に研修の予定を入れたりすることもあるでしょう。

 そのような場合、当該従業員教育が労働時間に含まれるかどうか問題になることがあります。

 この問題については、様々な学説がありますが、裁判例は、概ね、以下のような基準で判断しています。

 労働者が、教育・研修・訓練・小集団活動等への参加を、使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該参加は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該参加に要した時間は、それが社会通念上必要と認められる限り、労基法32条の労働時間に該当する。

 業務にとても役に立つ資格の取得や勉強でも、従業員が自主的に行う場合は労働時間には該当しないことになりますが、そのような場合でも、向上心のある従業員を正当に評価できる人事評価制度を作っておくと良いでしょう。

 しかし、そもそも、従業員教育は基本的に使用者の指示によって行われていることを前提に労働時間の算定をしておけば、まず問題は生じないでしょうし、従業員のやる気が損なわれる可能性が低くなると思われます。

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