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【悪い癖】お散歩のときに引っ張る・・・!

お散歩の引っ張り癖があると、せっかくのお散歩タイムが飼い主さんにとっては重労働になってしまいます。あっちに行きたい、こっちに行きたいと犬に振り回されて、常にぎゅーっとリードを持っていなくては行けなくて、体格のいいワンちゃんだと、飼い主さんも大変ですよね。

初めて犬を飼うクライアントさんだと、特にお散歩のルールを犬に理解させるのに苦労するようです。一般的なお散歩トレーニングの情報はネット上でもありふれていますが、実は散歩のときぐいぐい引っ張る理由は犬と飼い主さんの散歩ルートや散歩の仕方でも変わってきます。原因が違えば、トレーニングの仕方も変わってきますよね。

ドッグトレーニングをしている中でクライアントの方が困っていた事例をご紹介したいと思います。


1.犬が散歩のときにリードをグイグイ引っ張る

■事例
Aさんのおうちではいつもお母さんがお散歩につれていきます。朝晩それぞれ1時間ほどお散歩をするので、犬のエネルギー発散は十分にできている状態ですね。帰りはだいぶ言うことを聞いてくれるけれども、家を出た瞬間から全然言うことを聞かず、犬が急に立ち止まったり、飛び出したり、他の犬がいたら飛びかかっていったり、とにかく落ち着きがない状態でした。

■お困りごと
・公園に到着するまでかなり細い道を通らなくてはならないが、近くを車が通るだけで動かなくなる、興奮してしまう。
・常にリードを引っ張っていないと、いきなり飛び出したり、他の散歩中の犬に飛びついたりする
・犬が行きたい方向に向かっていつも全力で方向転換したりするときに、リードを引っ張らなくてはならない

さて、こういった場合はどんなことが原因として考えられるでしょうか?


2.原因

今回の事例の原因は大きく分けて2つあります。

①お散歩のトレーニングをしていない状態で、難易度の高いお散歩ルートを歩いている
②①の結果、飼い主はリードで強く引っ張ることで、犬をコントロールする習慣をつけてしまっている

子犬のトレーニングでは、どうやって飼い主さんと歩調を合わせて歩くのか、ということをお散歩のトレーニングで教えていきます。その時は道が広く車や人が少ない道で、犬が飼い主さんに集中できる環境でトレーニングをしていきます。車の音がしたり、人や犬の多い環境では、犬にとって気になる刺激がいっぱいです。飼い主さんの歩調に合わせるどころか、あっちに怖い人がいるぞ!こっちには気になるワンちゃんがいるぞ!というように、集中力がキープできません。そのため、なかなか飼い主さんの指示が聞けないという状態になってしまいます。

まずは正しいお散歩の仕方を教えてから、徐々に刺激の量を増やし、それでも飼い主さんのコマンドを聞いたり歩調に合わせていくということを学習させるのが最も効率的なやり方ですね。

今回の場合、正しいお散歩の仕方を知らないまま、犬は人通りや車通りが多く、しかも細くくねくねした道を歩かなくてはいけません。これでは、犬が飼い主の言うことを聞けないのも仕方がありません。

結果として、飼い主さんはリードをいつも短く持ち、犬が飛び出したりしないよう常にリードを強く握りしめ、犬の首輪にはテンションがかかった状態です。そうすると、反発の力が働き、犬は苦しさから逃げようと反動で前へ前へと進んでしまいます。

犬がぐいぐい引っ張るというのは、お母さんのリードの持ち方に理由があったのです。

このようなケースでは、犬にトレーニングを行うだけでなく、飼い主さんも正しいお散歩の仕方を身につける必要があります。またぐいぐい引っ張る癖をこれ以上エスカレートさせないよう、環境操作、飼い主指導、犬のトレーニングの3軸で進めていきました。


3.環境操作

まず、トレーニングができていない状態で、いつものお散歩コースを通るのは非常に難易度が高いので、お散歩コースを変えていきます。広く、交通量が少ない道を使います。もしお散歩コースを変えることができないのであれば、公園など広いところにいくまでは、抱っこしてしまうというのも一つです。

次に、徐々に人や車に慣らしていきます。車がそばを通ったときに犬はどんな気持ちを示していますか?大抵の犬は車の音やバイクの音を怖がります。もし恐怖が見えるのであれば、おやつを上げましょう。他の犬や人が通りかかったらおすわり+マテができるようにしましょう。


4.飼い主指導

リードは常時引っ張るものではないということを理解してもらいます。常にリードを引っ張りっこしている状態が常態化してしまっていると、リードが張ったら飼い主のところに戻ってこなくてはいけないと覚えることができなくなりますね。リードは馬の手綱のように方向転換をさせるときや、犬を静止したいときにだけ軽く引き、テンションを伝えるようにします。

リードの持ち方を変えて、正しいやり方をしたときに、犬が今までのルートを歩けるか、というと歩けませんね。きっと道をはみ出てしまいます。そのためお散歩のトレーニングを行って、正しいお散歩の仕方も犬に覚えてもらいます。


5.お散歩のトレーニング

お散歩のトレーニングで大事なのは「ヒールウォーク」「オイデ」「オスワリ+マテ」です。「ヒールウォーク」は飼い主の足より前に出ずに飼い主の歩調に合わせてあるくことです。もし万が一飛び出してしまったら「オイデ」で呼び戻します。交差点で待つとき、人や犬とすれ違うとき「オスワリ+マテ」で待機させます。

このトレーニングはまず家の中でやります。犬にとっての刺激が少ない状態で始めて、できるようになったら外の人・車通りの少ないところで同じことをします。そこでもできるようになったら、にぎやかなところでトレーニングをします。人通りが多く、車通りが多く、他のワンちゃんもよくお散歩しているようなところですね。そこまでできるようになったら、今度は細い道・くねくねした道なんかもやっていきましょう。

さらに公園でロングリード&コーンなんかを使って、リードによるコントロールがなくても飼い主さんの足元をトコトコ歩いてくれる、止まったら一緒に止まってくれるなんていう練習もできるようにするといいですね。


6.最後に

お散歩トレーニングがうまく行かない場合は、散歩ルート自体がワンちゃんにとってハードルが高すぎる、飼い主さんのリードの持ち方や犬の誘導の仕方に問題がある、なんてことがあります。散歩ルートの環境や犬のボディランゲージを専門家に分析してもらうことで、その子にあったカリキュラムを考えて、トレーニングを速やかに進めることができます。このワンちゃんも1ヶ月ほどでしっかりと飼い主さんの隣を歩けるようになりました

一般的な方法でも改善しないときは、プロにご相談いただくこともおすすめです!


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